食品安全情報blog過去記事

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2016年11月17日の議題とペーパー

17 November 2016: agenda and papers (ZIP, 2MB)
https://www.gov.uk/government/groups/committee-on-carcinogenicity-of-chemicals-in-food-consumer-products-and-the-environment-coc
・食品中のインスリン様成長因子I(IGF-I)による消費者への発がんハザードの可能性について
特にウシソマトトロピン(BST)処理されたウシのミルクにはIGF-Iが多いので消費者のがん、特に乳がんのリスクを上げるという主張がある。COCはその主張についてこれまで何度か検討してきた。それらと新しい情報をひとまとめにしたペーパーを準備
・ホライゾンスキャニング
フレイルfrailtyとがん
新規食品成分として申請されたCycloastragenol-TA65の発がん性についてACNFPから助言を求められACNFPの懸念は残ったため企業は申請を取り下げたので欧州では新規食品としては認められていない。しかし外国では販売されている可能性がある。
非遺伝毒性発がん物質の試験評価の統合的アプローチ(IATA)
発がん物質への短期暴露のリスク評価
小さい子どもへのMOE適用可能性
遺伝毒性の閾値
疫学研究の用量反応モデル
次世代DNA配列決定によるがんゲノミクス研究
がん感受性と免疫修飾
など
・2年間バイオアッセイ代替法
a)In vivo試験とb)細胞形質転換試験について更新、c)トキシコゲノミクスとハイスループットスクリーニングについては概要
予備的結論
現在市販されている試験されていない多数の化合物の発がん性を評価するのに2年間齧歯類バイオアッセイを行うのは現実的ではなく、代替法が必要である。遺伝毒性試験は多くを検出できるが全ての遺伝毒性発がん物質を検出できるわけではなく、非遺伝毒性発がん物質は検出できない。
遺伝毒性を検出するための構造活性相関(SARs)はよく受け入れられている方法であるが、このためには背景にある根拠と正しい解釈についての良い実際的知識が必要であるが必ずしもそうなっていない。さらに非遺伝毒性発がん物質についての利用は限られる。
オミクス技術はヒトにあてはまる作用機序に基づく新しい戦略の一部として役に立つ可能性はある。トキシコゲノミクス(TGx)アプローチは、ヒトのin vivoでの結果を予想するために動物のin vitroとin vivo試験間の関係をヒトのin vitro試験との外挿に使えるかもしれない。そのためにはバイオマーカーの開発が必要で、この分野にはたくさんの情報が生み出されているものの、さらに進めるためには重要なマーカーへのより良い理解が必要である。TGxアプローチは現時点ではハイスループットスクリーニングには適さない。
ハイスループットスクリーニング(HTS)技術は生化学あるいは細胞をつかった試験法で多数の化合物の広範な濃度を迅速にスクリーニングでき、ハザードの同定と優先順位決定に有用である可能性があるが現時点ではリスク評価には使えない。
d)短期試験の結果を用いた発がん物質代替試験法については意見案
全体として、化学物質の健康リスクを評価する代替法は重要であり、異なる部門との良い情報交換は続けるべきである。課題は重要な有害影響を避けつつ過剰な懸念を予想することのないような戦略が必要だということである。
・焼却炉の健康影響