食品安全情報blog過去記事

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FDAのゲノム編集製品への科学に基づいたアプローチ

FDA’s Science-based Approach to Genome Edited Products
Posted on January 18, 2017 by FDA Voice
http://blogs.fda.gov/fdavoice/index.php/2017/01/fdas-science-based-approach-to-genome-edited-products/
最近の科学の進歩は植物、動物、微生物のゲノムをより効率よく正確に変えて望ましい性質を作ることを可能にした。これらのゲノム編集技術は比較的簡単に使用でき医療、食品、環境分野など広範な分野にわたって適用でき、ヒトや動物の健康に有用な影響を生む可能性がある。しかしながらこの技術の個々のゲノムへの影響から環境や生態系への影響までに渡るリスクも同時にある。さらにゲノム編集はヒトと動物の声明について基本的倫理的疑問も提示する。
ゲノム編集技術は生物のゲノムの特定の位置の特定のヌクレオチド(DNAコードの文字)を導入したり除去したり置換したりするのに使え、タンパク質とヌクレオチドの複合体を用いて行われる。いくつかのクラスの複合体が存在し、最も最近発見されたものはCRISPR/Cas9という。現在これらの技術を用いて以下のような研究が行われている。
・特定のタイプの細胞の遺伝子を変えることによるHIVやがんや稀少疾患の治療
感染症を運ぶ生物のコントロールや改変(例えばデング熱やジカ、マラリアの原因となるウイルスや寄生虫を運ぶ蚊、ライム病原因細菌を伝達するマウス)
・食用動物の健康と福祉の工場(例えば角のない牛、病気に耐性の豚)
・植物食品や真菌の特定の性質(例えば褐色にならないマッシュルーム)
こうした期待できる技術への熱狂に伴って、FDAがこの技術を使った規制対象製品の安全性をどう確保するのかという疑問がある。新興技術の関与する製品の適切でバランスのとれた規制監視を提供することはFDAにとって新しくも特有の課題でもないが、応用範囲の広さとゲノムを変えるという基本的性質から、あらゆるリスクの可能性に対応するための最も有効な規制政策を検討する才には多くの関係者の参加が必要である。
製品ごとの、リスクに基づいた規制を維持する
ゲノム編集の応用はFDAの規制対象である3つの主要製品分類に関係する。それぞれ分野ごとに規制のアプローチは異なる。FDAは製品を中心にした、科学に基づいた規制政策を維持する。
医薬品については既存の生物製剤枠組みのもとで規制する
(略)
ゲノム編集植物や動物由来食品についてはCFSANとCVMが適切に対応する。これら二つの分野については我々の現在の考え方を明確化した文書を発表し、科学的情報を募集している。ゲノム編集技術を用いて作った植物由来の食品については、FDAは組換えDNA技術を用いたものを含む新規植物品種由来食品のための計画がある。我々はゲノム編集植物由来食品や飼料が伝統的交配により作られた植物と比べて追加のリスクとなるかどうかについて情報を求めている。新規植物品種由来食品の監視における何十年もの経験と科学的根拠やデータは我々の今後のリスクの検討に役立つだろう。
動物がゲノム編集で作られた場合、例外を除き、組換えDNAによるものであろうと遺伝子編集によるものであろうと意図的に変更された動物ゲノムの部分は、動物の構想や機能を変えることを意図しているため薬物とみなし、そのため新規動物用医薬品規制の対象になる。我々は既存の遺伝子組換え動物用ガイダンスをゲノム編集も含まれるように更新して案を発表し、パブリックコメントを募集する。またある種の動物でのゲノム編集がリスクが低いあるいは意味のあるリスクとはならないかどうかについても意見を募集し、その意見に基づいて規制のアプローチを変えるかもしれない。
以下略
意見募集対象文書は以下

ガイダンス:食品に使われる新植物品種のゲノム編集
Guidance: Genome Editing in New Plant Varieties Used For Foods
https://www.federalregister.gov/documents/2017/01/19/2017-00840/guidance-genome-editing-in-new-plant-varieties-used-for-foods

ガイダンス:意図的にゲノムDNAを変えた動物の規制
Guidance: Regulation of Intentionally Altered Genomic DNA in Animals
https://www.federalregister.gov/documents/2017/01/19/2017-00839/guidance-regulation-of-intentionally-altered-genomic-dna-in-animals

これらの活動は最近発表された協調的バイオテクノロジー規制枠組み更新と併せて、バイオテクノロジー製品の規制システムの近代化の努力の一環である
2017 Update to the Coordinated Framework for the Regulation of Biotechnology
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/microsites/ostp/2017_coordinated_framework_update.pdf