食品安全情報blog過去記事

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論文

American College of Physicians issues guideline for treating nonradicular low back pain
13-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/acop-aco020717.php
根拠に基づいた臨床ガイドラインをAnnals of Internal Medicineに本日発表
急性あるいは亜急性の腰痛は温める、マッサージ、鍼、脊椎の徒手整復術などの薬を使わない方法で対処し、医薬品が必要な場合には非ステロイド抗炎症剤や骨格筋弛緩剤を使うこと。
医師は患者に、急性あるいは亜急性の腰痛は通常、治療に関わらず時間経過で改善すると再確認すること。不必要な検査やお金のかかる、有害影響のある医薬品、特に麻薬は処方しないこと。アセトアミノフェンは効果がない。
慢性腰痛の患者には最初は運動、リハビリ、ストレス軽減、、鍼、認知行動療法などの医薬品を使わない方法を選ぶべきである。慢性腰痛の治療には、どの治療法も明確な利点がないので害が少なく費用の安いものを選ぶべきである。どれにも反応しない場合にはNSAIDSが第一選択、次がトラマドールあるいはデュロキセチン。これらが全て失敗して、患者と議論してリスクよりベネフィットが大きい場合にのみオピオイドを選択肢として検討する

  • 強力な血圧コントロールが毎年10万人の死亡を予防できる

Intensive blood pressure control could prevent 100,000 deaths each year
13-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/uouh-ibp020917.php
ユタ大学Adam Bress准教授らが、140 mmHgと比べて120 mmHg以下にすることでハイリスクの人の心臓発作、脳卒中、死亡が減った収縮期血圧介入試験(SPRINT)をもとに推定。Circulationに2月13日オンライン発表

  • 強いアルコール政策は若い人を飲酒運転による死亡から守る

Strong alcohol policies protect against drunk driving deaths among young people
13-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/bumc-sap021017.php
Pediatricsに発表されたボストン医療センターの研究者らによる研究。米国では交通事故が若い人の主要死因である。死亡事故の40%に飲酒運転が関係している。米国の州毎のアルコール政策を評価し、その厳しさと21才以下での飲酒の絡む交通事故死を調べた。その結果飲酒に厳しい州ほど飲酒運転での若者の死亡が少ないことを発見した。さらにアルコール関連交通事故死した若者の約半分は運転者ではなく旅行者で、21才以上の人が飲酒運転している。

Gluten-free diet may increase risk of arsenic, mercury exposure
13-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/uoia-gdm021317.php
Epidemiologyに発表された報告によると、グルテンフリー食を食べている人は心血管系疾患やがんや神経学的影響につながる可能性のある有害金属であるヒ素と水銀暴露が増えるリスクがあるかもしれない。
セリアック病と診断されている人は1%以下のままであるがグルテンフリーが米国で人気になっている。2015年にはアメリカ人の1/4がグルテンフリーにしていると報告し、2013年から67%増加した。グルテンフリー製品にはしばしば小麦の代わりに米粉が使われている。コメはヒ素や水銀などを含む有毒金属を生物濃縮することが知られているがコメの多い食事の健康影響についてはあまりわかっていない。イリノイ大学シカゴ校公衆衛生学部の疫学准教授Maria ArgosはNHANESのデータを用いてグルテンフリー食と尿や血液中の有害金属マーカーの関連を探った。2009年から2014年の間に調査を完了した7471人のうち73人がグルテンフリーで、彼らの尿中ヒ素、血中水銀濃度がグルテンフリーでない人より高濃度だった。ヒ素濃度は約2倍、水銀濃度は70%高かった。
Argosは「これらの結果はグルテンフリー食は意図せぬ結果となる可能性を示す」という。「しかし相当な健康リスクになるかどうかはわからない」「欧州では食品からのヒ素暴露には規制がある。米国でも検討する必要があるだろう。米国には水のヒ素基準がある。コメの摂取量が増えるとヒ素暴露リスクが増えるので、水同様に規制するのは当然だろう」
(水銀よりカドミウムだろうけど。アメリカ人のレベルで心配とか言われたら日本はどうしようもない。「予防原則」なら当然だけど)

  • 「桁外れの」レベルの汚染物質が海の最深部から見つかった

Scienceニュース
‘Extraordinary’ levels of pollutants found in deepest parts of sea
By Erik StokstadFeb. 13, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/02/extraordinary-levels-pollutants-found-deepest-parts-sea
PCBは頑丈な化合物である。1979年以降禁止が始まったが分解し難く広範囲に広がり南極と北極にも届いている。今回研究者は最も深い海溝二つで生きる甲殻類にPCBを検出した。2014年の二回の調査で、国際チームが北太平洋のMariana海溝と南太平洋のKermadec海溝から野生生物を集めた。小さなエビのようなアンフィポッドという甲殻類を分析したところびっくりするような量のPCBを検出した。約11kmの深さの日本の南にあるMariana海溝から得られた最も汚染されている検体のPCB濃度は中国の汚染の多い川のカニで検出された量の50倍だった。Nature Ecology & Evolutionに発表。またこのアンフィポッドからは難燃剤として使われているポリ臭化ジフェニルエーテルも検出されている