食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 遺伝子編集が欧州で法的に曖昧なまま

Natureエディトリアル
Gene editing in legal limbo in Europe
22 February 2017
http://www.nature.com/news/gene-editing-in-legal-limbo-in-europe-1.21515
EUは遺伝子編集を巡る規則について足踏みしていて、科学者はこの問題を前進させるべきだ
ドイツが遺伝子編集された植物をGMと同じように規制すべきかどうかについて決めかねている。この問題はドイツ政府を二分し欧州中の科学者を宙ぶらりん状態にしている。
植物科学者は新しい遺伝子編集ツールはほんの少し正確に遺伝子を変えるだけで自然の突然変異と見分けがつかないという。しかし反対者はどんなものでも遺伝子に介入するものは危険である可能性があるという。ドイツは市民対話を重視していて2月14日にドイツ国立科学アカデミーがこの問題についての討論会を開催した。連邦環境省自然保護事務所の担当者はこれまで以上の規制を要求して情熱的に語り、一方農業省と消費者保護・食品安全事務所は合意しない。
EUがこの問題について決めることができていたらこのような議論は行われなかっただろう。しかしEUは遺伝子組換え議論に関してはいつだって麻痺する。
昨年10月にフランスのNGOと貿易団体が、古典的方法を含む全ての突然変異誘発手法で作られた生物を規制するよう欧州裁判所に照会した。ドイツでの討論会でドイツ自然保護事務所もこの主張を推した。欧州裁判所はこの件は政治的に非常にセンシティブな問題なので2018年まで決定はないだろうという。
一部の国は独自路線を行く。スウェーデンは2015年に規制しないことを決定している。英国は沈黙しているがいずれにせよEUを離脱すればEU規則に従う必要はない。
ドイツは欧州裁判所の決定を待つことを余儀なくされている。欧州裁判所は残念ながら複雑な生物学的な問題の取り扱いについては非常に保守的あるいは科学的に混乱した判決を出してきた歴史がある。

  • 保存のために野生動物をどうやって人道的に殺すか

Natureニュース
How to kill wild animals humanely for conservation
Emma Marris 28 February 2017
http://www.nature.com/news/how-to-kill-wild-animals-humanely-for-conservation-1.21536
国際グループが駆除予定動物の苦痛や痛みを減らすためのガイドを提供
害獣を殺す非人道的な方法を減らそうとブリティッシュコロンビア動物虐待防止学会の主任科学官Sara DuboisらがConservation Biologyにガイドラインを発表した。このガイドラインは2015年にバンクーバーで行われたワークショップの成果である。
(写真はポッサム。オーストラリアの野生種であるがニュージーランドでは害獣とみなされている。この駆除に使われている抗凝固剤は何日にもわたって苦しむことになるため動物福祉業界からは最悪のものとみなされている。しかしだからこそヒトやペットには安全性が高い)

  • EPAの飲料水中フッ素に関する請願への回答

ENVIRONMENTAL PROTECTION AGENCY
40 CFR Chapter I
[EPA–HQ–OPPT–2016–0763; FRL–9959–74]
Fluoride Chemicals in Drinking Water;TSCA Section 21 Petition; Reasons for Agency Response
Federal Register / Vol. 82, No. 37 / Monday, February 27, 2017
http://www.dentalwatch.org/fl/connett/epa_2017.pdf
2016年11月23日に有害物質管理法(TSCA)のもとでフッ素行動ネットワークFluoride Action Network、食品と水監視Food & Water Watch、オーガニック消費者協会Organic Consumers Association、米国環境医学会American Academy of Environmental Medicine,、国際口腔医学毒性学会the International Academy of Oral Medicine and Toxicologyおよびその他の個人から水にフッ素を添加することを禁止するよう請願があった。注意深く検討した結果この請願を却下した。以下理由。
(ここに名前の出てきた団体はフッ素でIQが下がるとかがんになるとか宣伝している反フッ素団体でフッ素以外にも嘘ばかり言っているので覚えておくといいよ。)

  • フルオレン-9-ビスフェノール(BHPF)とマウスへの専門家の反応

SMC
expert reaction to Fluorene-9-bisphenol (BHPF) and mice
February 28, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-fluorene-9-bisphenol-bhpf-and-mice/
Nature Communicationsに発表された研究が、ビスフェノールA代用品であるフルオレン-9-ビスフェノールがマウスで抗エストロゲン作用があると報告
エジンバラ大学男性生殖健康研究チームグループリーダーRichard Sharpe教授
環境団体がビスフェノールAの禁止を主張しているがEFSAやFDAなどの規制機関に関する限り、ビスフェノールAを他の化合物に変更することの根拠はない。この研究はそのような代用品が「フライパンから飛び出して火に飛び込む」ようなものであることを示す。この研究からはヒトで害があるかどうかはわからないが。
ビスフェノールAについてはその活性やヒトでの暴露、代謝などについて膨大な量のデータがあり、それをもとに規制機関がリスクを判断できる。一方代用品については情報が少ない。従ってこの研究は、ある物質を他のものに代えるのは根拠に基づく必要があり、そうでなければむしろ害が大きいことを再確認するものである。
(活動家は反対活動をするのが目的なので害の大きいものが使われたらまた反対できるからむしろ歓迎なんじゃないか。)

  • 法遺伝学を理解する

Sense about science
Making Sense of Forensic Genetics
Published: 25 January 2017
http://senseaboutscience.org/activities/making-sense-of-forensic-genetics/
法遺伝学はますます複雑になり犯罪裁判システムでのその利用がしばしば誤解され間違って提示されている
犯罪ドラマを見るのは楽しいが、フィクションと現実は違うことを理解しなければならない。しかしこの違いが現実の事例のしばしば過剰に劇的な報道で曖昧にされている。その結果ほとんどの人がDNAによる根拠について非現実的な認識をもち、誤審に繋がる可能性がある
例えば
・DNAから顔の形などの見た目を予想することは現時点では不可能である
・あなたが入ったことのない部屋にもあなたのDNAがあることはある。ハウスダスト中にもあって運ばれる。だから誰かのDNAがあったからといって犯行現場にいたとは限らない
・DNAだけで犯人がわかることはない

  • トリインフルエンザのため鶏は屋内に留まらなければならず放し飼いの表示ができなくなった

Eggs lose free range labels after bird flu keeps chickens indoors
Tuesday 28 February 2017
http://www.scotsman.com/business/companies/retail/eggs-lose-free-range-labels-after-bird-flu-keeps-chickens-indoors-1-4379447
12月6日に公式にトリインフルエンザ予防地域が発表されて家禽の所有者は鳥類を屋内で野生の鳥と接触しないように保持しなければならなくなった。この命令は終わったが、ハイリスク地域の農家は厳しい管理を続けるよう助言されている。EUの法では12週間以上屋内に留まった鳥の卵は放し飼いと宣伝してはならない。
スコットランドは毎年14億個の卵を生産するが約45%が放し飼いである。

  • オタワ地域の農家が未殺菌ミルクの販売禁止命令と戦う

Ottawa-area farmer fights order to stop selling, distributing raw milk
Tuesday, February 28, 2017
http://ottawa.ctvnews.ca/ottawa-area-farmer-fights-order-to-stop-selling-distributing-raw-milk-1.3304695
オンタリオ東部の農家がこの地域の未殺菌ミルク販売を禁じたスタンスを撤回させようと希望している。カナダでは未殺菌ミルクの販売は違法である。Michael Ilgertは2010年から牛のシェアプログラムにより未殺菌ミルクを提供している。保健当局が彼のオーガニック農場に査察に来て、未殺菌ミルクを販売したいなら守らなければならない条件を提示した。それから郡の保健当局が彼に未殺菌ミルクの販売を禁止する命令を出した。この件についての異議申し立てが火曜日に行われ、決定は後日となる。
ヘルスカナダは未殺菌ミルクには病原体が含まれ安全ではないと言う。
これに対してIlgertは殺菌したミルクを飲めないヒトでも未殺菌ミルクなら飲めると主張する。未殺菌ミルクの販売は禁止されているが農家や家族は自分の農場のミルクを生で飲むことはある。
(そういういいかげんなことを言うから禁止されるんだが)

  • あなたのチキンサンドに入っているのは何?DNA検査でサブウェイのサンドイッチには50%しかチキンが入っていない可能性が示された

CBC
What's in your chicken sandwich? DNA test shows Subway sandwiches could contain just 50% chicken
Feb 24, 2017
http://www.cbc.ca/news/business/marketplace-chicken-fast-food-1.3993967
CBCのMarketplace調査で主要ファストフードレストランのグリルチキンサンドやラップのDNA分析を行った。
Trent大学の野生生物法医学DNAラボのDNA研究者Matt Harndenが6つの人気のあるチキンサンドを調べた。ほとんどの検体で100%チキンに近い値だったがサブウェイだけ外れていたので別にローストチキンやチキンストリップを5つ注文して調べた。平均値はローストチキンはチキンDNA 53.6%、チキンストリップは42.8%だった。残りのDNAは何か?大豆。
サブウェイはこの結果に合意しないという声明を出している。
(?鶏ささみを味付けして焼いただけなら再構成品と区別できそうなものだが?)

  • サブウェイはチキンストリップが主に大豆という報告に怒り

Subway angrily responds to report that its chicken strips are mostly soy
03/01/2017 | ConsumerAffairs
https://www.consumeraffairs.com/news/subway-angrily-responds-to-report-that-its-chicken-strips-are-mostly-soy-030117.html
CBCが研究者にお金を払ってファストフードのDNA検査をした
サブウェイの報道チームはチキンストリップの多くがチキンではないという報告を猛烈に否定した。「CBCのMarketplaceによる批判は虚偽で誤解を招くものである」と広報担当のKevin KaneがConsumerAffairsにメールで書いている。
サブウェイはこの報告を取り下げるよう求めている。サブウェイは最初チキンに少しだけ大豆を使っていたことを認めていてサプライヤーに問題がある可能性を示唆していた。先週CBCに対してチキン製品の大豆タンパク質は1%以下のはずと回答していた。
ファストフード業界には疑問のある添加物が使われてきた歴史がある。