食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 遺伝子解析が我々の肝臓がどう働いているのかの理解をさらに深める

Gene analysis adds layers to understanding how our livers function
9-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/wios-gaa040917.php
Natureに発表されたWeizmann科学研究所の研究。一つの6角形の肝小葉を構成する全ての細胞の遺伝子活性をマッピングすることで少なくとも9つの種類の細胞に分類できることを発見した。それぞれが自分の専門の仕事をしている。
例えばブドウ糖や血液凝固因子やその他物質の合成は肝小葉の外側の細胞で行われている。内部は毒素やその他の物質が壊される場所である。中間層も単なる通過場所ではなく独自の仕事をしている。

  • 米国心臓協会の調査は患者がコレステロールの管理について何が最良かよくわかっていないことを発見

American Heart Association survey finds patients uncertain about how to best manage their cholesterol
April 10, 2017
http://newsroom.heart.org/news/american-heart-association-survey-finds-patients-uncertain-about-how-to-best-manage-their-cholesterol
調査の知見は高コレステロールの管理について啓発、患者に力を与えること、医療提供者のより良い理解に役立つだろう
コレステロール濃度の高い人はそれを管理する必要があることは理解しているが、やりかたがよくわからないあるいは管理できるという確信をもてない
キャンペーンサイト
Check.Change.Control.Cholesterol,
http://www.heart.org/HEARTORG/Conditions/Cholesterol/Check-Change-Control-Cholesterol-Program_UCM_491936_SubHomePage.jsp

  • 病院ベースのプライマリー診療の患者は不必要な検査を受ける可能性が高い

Patients at hospital-based primary practices more likely to get unnecessary tests
10-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/hms-pa040617.php
JAMA Internal Medicine。腰痛や頭痛、上気道感染などのよくある症状の患者は、地域診療所に行く場合より病院ベースの診療所に行く方が診断や治療にあまり利益のない、いわゆる価値の低いケアや検査を受ける可能性が高い。重要因子は診療所の所有者というより場所のようだ。
過剰検査と不必要な専門医への紹介は重大な問題である。不必要なケアは単に医療費が嵩むというだけではなく、追加の侵襲的あるいは有害な治療につながったり患者を不必要な放射線に暴露させたりする。米国の医療費の10-30%は価値の低いケアを提供するのに使われていると推定されている。
アメリカでこれなら日本は?コンビニ受診が医療費の問題だけではなく過剰診断と過剰治療で患者自身にも害をなす、というのが徐々に常識になりつつある)

  • 「ポッパーズ」の新しい化学成分は網膜障害と関連

New chemical composition of 'poppers' linked to retinal damage
10-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/b-ncc040717.php
British Journal of Ophthalmology
ポッパーズは強い臭いのある無色液体で向精神作用、多幸感、性的興奮を目的に吸入される。2016向精神物質法では英国の全ての「リーガルハイ」を2016年4月から禁止することを目的としたがポッパーズは中枢神経系への直接作用がないために除外された。
ポッパーズの主要成分亜硝酸イソプロピルは、2006年に亜硝酸イソブチルが発がん物質に分類されてから置換されたが、それ以降目の問題が起こるようになった。
研究者らは2013-16年に治療を受けた、31-59才の12人のポッパーズの使用に関連した視覚障害を解析した。
(日本では合法じゃない)

  • ワクチンは命を救うが接種率を高く維持することが必須

Vaccines save lives, but maintaining widespread coverage is essential
10-Apr-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-04/ehs-vsl040717.php
Emory ワクチンセンター長Rafi Ahmed博士らによるPNASのエディトリアル
予防可能な感染症への予防接種は世界の死亡率を劇的に下げたが、その成功を維持するにはコミュニティの予防接種への信頼と高い接種率を維持することが必須である。
医療従事者や地域のリーダーはワクチンへの信頼と受容を高めるために、その健康への重要性と経済的メリットを強調して協力しなければならない。
予防接種はある意味自らの成功の犠牲者である。ワクチンへの熱望を生んだ病気が希になり、間違った、危険な安心感が人々の間にある。ワクチンとその副作用への恐怖が高まっている。ワクチンが自閉症の原因であるという説はたくさんの研究が支持していないが、科学をワクチン懐疑者に影響を与えるような情報に翻訳するのは困難である。