食品安全情報blog過去記事

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その他

コンシューマーラボ
Product Review: Vitamin K Supplements (Including Calcium and Vitamin D)
Initial Posting: 5/20/17
https://www.consumerlab.com/reviews/vitamin_K_supplements_review/Vitamin_K/
一部の製品は表示より少ない量しか含まれない。一つには鉛汚染。別の製品は一定時間内に崩壊しない

Brazil's public universities in crisis
Carla C. Siqueira*, Carlos Frederico, Duarte Rocha
Science 26 May 2017:Vol. 356, Issue 6340, pp. 812
http://science.sciencemag.org/content/356/6340/812.2.full
ブラジルが深刻な不況に直面して緊縮政策をとり、2016年12月に科学、技術、確信、教育、医療への公共投資を今後20年凍結すると決めた。その結果例えば2016年にリオデジャネイロ州立大学に州政府は規定の資金の75%しか提供せず、教授や研究者を含む従業員の給料に遅配や欠損がおこった。研究プロジェクトも継続できず、科学者はブラジルを離れようとしている。州立大学は経済的理由から私立大学にならざるを得ないだろう。結果として大学の独立性と研究の質に問題が生じるだろう。ブラジルの大学の研究の質に関するランキング上位50のうち94%が公立である。
(ブラジルの研究者からの悲鳴の手紙。でもあんまり他人事ではない。)

Strike disrupts research at Puerto Rico's top university
Jeffrey Mervis
Science 26 May 2017: Vol. 356, Issue 6340, pp. 793
プエルトリコ大学の3月からのストライキによる閉鎖で研究や教育を維持するのが困難になっている。長期にわたる不況が財政危機を招き、地域の破産で大統領が任命した外部委員会の管理下になった。公共資金の大幅削減に反対してストライキが始まったがその後地域の将来と政治的立場を巡る議論に発展した。

  • 活動家が動物の福祉報告公開に関して米国政府と裁判所で戦う

Scienceニュース
Activists battle U.S. government in court over making animal welfare reports public
By Meredith WadmanMay. 24, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/05/should-animal-welfare-reports-automatically-be-public-courts-prepare-weigh
動物供給企業の動物福祉法に関する査察の結果報告の開示を巡って、政府の情報公開方針とプライバシー保護への関心の高まりの間に緊張が高まっているなかでの裁判。
動物実験を支持する団体Speaking of ResearchのTom Holderは、「透明性向上のために情報を公開することを強く支持するが、透明性は動物の権利活動家過激波によって個人や企業を標的に破壊活動をするために濫用されてきたことも承知している。公開される情報はこれらのリスクも検討する必要がある」という

How the transgenic petunia carnage of 2017 began
By Kelly ServickMay. 24, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/05/how-transgenic-petunia-carnage-2017-began
2年前、植物生物学者Teemu Teeriはヘルシンキの電車の駅のそばを歩いていたとき、プランターの鮮やかなオレンジ色のペチュニアに気がついた。その花はヘルシンキ大学で植物色素を研究していたTeeriに、約30年前の画期的遺伝子組換え実験で作られた花のことを思い出させた。彼の知る限り、それらの花は市販されなかった。しかし彼は不思議に思ってその茎をリュックサックに入れた。
その偶然の出会いが、今や二つの大陸の花の販売業者に無数のペチュニアを破壊させることになった。Teeriは結局その植物に外来DNAが存在することを確認し、欧州と米国の規制機関に情報を伝え、規制機関は他の市販系統のGEを確認した。担当者はGEペチュニアはヒト健康や環境への脅威とはならないと言い、おそらく何年もそれと知らずに販売されていたが、販売業者にこの花の破壊を要請した。なぜならば米国と欧州では許可無く販売するのは違法だから。
皮肉なことに、現在議論が行われている米国のバイオテクノロジー規則の改定案は、この害のないペチュニアを規制対象から外す可能性があった。しかしこのペチュニア大虐殺はGE植物の規制を巡る、長い歴史があり追跡困難な、ますます増える複雑さを象徴する。
Trilogy Mango やAfrican Sunsetという名前のペチュニア品種を売っていた人たちはおそらくオレンジ色のペチュニアが有名なバイオテクノロジー研究の産物であることを知らなかっただろう。1987年のNature論文で、ドイツのマックスプランク植物交配研究所の植物遺伝学者Peter Meyerらのチームが、トウモロコシの遺伝子をペチュニアに入れるとペラルゴニジンという色素を作りサーモンカラーになることを示した。彼らのチームが試験で植えた3万のペチュニアが、ドイツで野外栽培された最初の遺伝子組換え植物であった。Meyerは現在英国Leeds大学にいる。当時一般からの抵抗は激しく、トランスジェニックという用語は毒とほとんど同じ意味として使われた。
その議論はオランダの種子会社Zaadunieの傘下にあるS&G Seedsが技術の特許をとることを阻むことはなかった。そして1995年に、より安定した遺伝子発現をし、鮮やかなオレンジ色で商用交配に適したペチュニアを作ったと発表した。Zaadunieと協力関係にあるRogers NKはフロリダでの野外試験のための規制上の認可を米国規制機関からとった。しかしこの会社が商用販売したことはない。一般からの認識が好ましくない、規制上のハードル、あるいは単に経済的理由からだろうとMeyerは言う。「私はほとんど忘れていた」
この話を覚えていたのでTeeriはヘルシンキの駅でオレンジ色の花を見て当惑した。「私は騙されているのかと思った」。彼は数ヶ月後1987年の論文で報告されていたものと同じDNA挿入を発見した。オンラインで購入した他のオレンジ色のペチュニアもそうだった。
Teeriはそれから今となっては後悔している決断をした:フィンランド遺伝子技術委員会で規制担当者として働いているもとPhDの学生に漏らした。「私は話しすぎた。私はもし適切な規制がされていないペチュニアが見つかったらどうなるかという仮定での質問をすべきだった」。4月27日、フィンランドの食品安全機関EVIRAは8つのペチュニアは市場から排除するよう要請した。他の欧州諸国も調査を始めた。
(以下略)

  • クレームチェック:ニンジンは本当に目を良くする?

Claim Check
Do Carrots Really Improve Eyesight?
by Densie Webb Ph.d., R.d. | May 24, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/do-carrots-really-improve-eyesight
クレーム:ニンジンを食べると視覚が向上する
事実:この神話の起源は第二次世界大戦に遡り、ほんの少しの真実を含む。ニンジンはベータカロテンが多く、それは人体でビタミンAに変わって正常な視覚を維持するのに関与する。しかしもしあなたがビタミンA欠乏でなければ、ベータカロテンはあなたの視覚をより良くすることはない。一部の途上国では栄養不良による視覚の喪失がよく見られるが、ほとんどのアメリカ人は食事からビタミンAを十分摂っている。
ニンジンが目によいという話は第二次世界大戦中の英国空軍にさかのぼる。ニンジン博物館によると、当時パイロットが敵の飛行機を発見して打ち落とすのにレーダーを初めて使い、この最新技術を秘匿しようとしてパイロットがニンジンを食べているから夜間よく見えるようになったという噂を流した。この捏造された「真実」が固まってしまい、今でも目のためにニンジンを食べるように言われる。
ベータカロテンは目を良くしないが一部の研究で加齢性黄斑変性に役立つことが示されている(AREDS)。しかし同時に高用量のベータカロテンは肺がんリスクを高める可能性もあり、その後のAREDS2ではベータカロテンはルテインやゼアキサンチンに変更されている。AREDSフォーミュラはしばしば目の健康によいと宣伝されているがそんな根拠はない。
高用量ベータカロテンに有害影響があることがベータカロテンの多いニンジンのような食品を食べることの重要性を損なうことはない。食品からサプリメントのような有害な量のベータカロテンを摂ることはできない。