食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 太平洋北西部のサーモンは大きな遺伝的困難にある

Pacific Northwest salmon are in big genetic trouble
By Robert F. ServiceJan. 10, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/01/pacific-northwest-salmon-are-big-genetic-trouble
チヌークサーモンが過去7000年で遺伝的多様性の2/3を失っていることが報告された。PLOS ONE

  • 多くのRCTは正当化できないかもしれない:RCTの倫理と科学についての横断研究

Many RCTs May Not Be Justified: A Cross-Sectional Analysis of the Ethics and Science of Randomized Clinical Trials
Julie De Meulemeester et al.,
http://www.jclinepi.com/article/S0895-4356(17)30769-2/fulltext
RCTが倫理的に正当化できるためには、それが科学的に正当でなければならない。そのための基準として3つを提案する。(1)明確な仮説をもとにデザインされていること、(2)その仮説には不確実性があり、(3)その不確実性が既知のレビューでわかっていること
今回の研究で、有名雑誌(JAMAとNEJM)に発表されているRCTの56%がこれら3つの基準を満たさない。つまり科学的に正当ではない可能性があり、非倫理的である。
(ここまで厳密に検討しなくても、倫理にもとることが明白なのが福島の甲状腺検査なのだが。)

  • ニセリキュールをかぎ分ける

'Sniffing' out counterfeit liquors
10-Jan-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/acs-oc011018.php
ACS Sensorsに発表されたリキュールのにせものを同定できる一連のセンサーをもつポータブル装置。各種スコッチ、バーボン、ブランデー、ウォッカなどのブランドとアルコール含量を99%以上の正確さで同定

  • 調査は動物研究の質の低さ、規制の欠如、間違った提示への懸念を示す

Investigation raises concerns over poor quality, lack of regulation, and misrepresentation of animal research
10-Jan-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/b-irc010918.php
専門家は動物実験は「システムの失敗」に苦しんでいると指摘し、ひどい状況には緊急の対応が必要と呼びかける
BMJに発表された調査は、新しい結核予防接種のヒト試験承認と資金を得るために、研究者が動物実験の結果をいかに間違って提示したかについての懸念を明らかにした。調査とそれに伴う専門家のコメントは、動物実験の"pick and mix"やりかたを強調し、監視と透明性の欠如、許容できない規制上の意志決定、動物実験からヒト試験に移行することを決めるのに必要なデータが明確でないことなどのより広範な疑問を提示した。
臨床医学では、根拠の選択的提示を予防するために臨床試験の事前登録があるが、前臨床研究ではそのようなメカニズムはない。この調査は前臨床試験のシステムとしての失敗の一例に過ぎない。動物実験を価値ある、信頼できるものとして目的に適うものにするための緊急対応が必要である。
ガイドラインのない動物実験の結果はいつだって誇大宣伝。この人のように(論文紹介:食品に添加されたトレハロースがクロストリジウムの流行の原因だった(西川伸一) https://news.yahoo.co.jp/byline/nishikawashinichi/20180107-00080202/動物実験の結果だけでヒトでの影響を断定するのはやめた方がいい。安全性試験もGLP準拠でないものは怪しい、ということが常識になるべき。無駄な実験は倫理にももとる)

  • 健康的食生活のベネフィットは遺伝的肥満リスクの高い人の方が大きい

Benefits of a healthy diet greater in people at high genetic risk for obesity
10-Jan-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/b-boa010918.php
BMJ。また食事の質を向上させることで遺伝的体重増加リスクも減少する。
(遺伝子は肥満の言い訳にはならないそうです)

Can vitamins and dietary supplements benefit patients with mitochondrial disease?
10-Jan-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/chop-cva011018.php
妥当性を評価された有効な薬物治療法がないために、ミトコンドリア疾患患者はしばしば標準化されていない、規制されていない、根拠のない各種ビタミンやサプリメントを使用している。この状況を改善したいと専門家がAnnual Review of Pathology: Mechanisms of Diseaseに発表されたレビュー提案する。全ての栄養介入は厳密に試験されることを薦める。