食品安全情報blog過去記事

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電子タバコの公衆衛生上の帰結

Public Health Consequences of E-Cigarettes
Jan. 23, 2018
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=24952&_ga=2.265965519.1149242768.1516756964-147430040.1465349714
電子タバコの健康影響についてのこれまでで最も包括的な新しい報告書は、電子タバコは若者に喫煙を開始させ、成人には禁煙を導く可能性があることを発見
NASEMが議会から要請されてまとめた報告。
ニコチン暴露について
電子タバコからのニコチン暴露は装置や液体、使い方により大きく異なることには決定的根拠がある
・喫煙経験のある成人での電子タバコからのニコチンの摂取量は普通のタバコからのものと同程度であることには相当な根拠がある
有害物質暴露について
・ほとんどの電子タバコはニコチンに加えて無数の有害な可能性のある物質を出すことには決定的根拠がある
・ニコチン以外の有毒物質への電子タバコからの暴露は普通のタバコより有意に少ないことには相当な根拠がある
依存と濫用
電子タバコの使用が電子タバコ依存症状をおこすことには相当な根拠がある
・普通のタバコより電子タバコのほうが依存の重症度やリスクが低いという中程度の根拠がある
電子タバコ製品の多様性が依存のリスクや重症度の重要な決定要因であることには中程度の根拠がある
有害性削減
・普通のタバコを完全に電子タバコに置き換えることが使用者の有害物質や発がん物質暴露を減らすことにいは決定的根拠がある
・普通のタバコの定期的使用を電子タバコに完全に代えることがいくつかの臓器への短期の有害影響を減らすことには相当な根拠がある
若者と若年成人の使用
・若者と若年成人の電子タバコの使用が普通のタバコを吸うリスクを高くすることには相当な根拠がある
受動喫煙
電子タバコの使用が屋内環境での空気中粒子状物質とニコチン濃度をバックグラウンドより上げることには決定的な根拠がある
・ニコチンや粒子状物質受動喫煙電子タバコのほうが普通のタバコより少ないことには中程度の根拠がある
がん
電子タバコとヒトのがんの関連について入手できる根拠はない
・長期電子タバコ使用ががんリスクを増やすという仮説を支持する中間的バイオマーカーを用いた動物実験での限定的根拠がある
呼吸器への影響
電子タバコがヒトでの呼吸器疾患をおこすかどうかについては利用できる根拠がない
電子タバコを使用している青少年の咳と喘鳴が増えること、喘息が悪化するという中程度の根拠がある
怪我と中毒
電子タバコは爆発することがあり火傷や怪我の原因となることには決定的根拠がある。そのようなリスクはバッテリーの質が低い、不適切な保管、使用者による改造で相当増える
電子タバコ用液体への意図的あるいは事故による暴露(飲む、目や皮膚への接触)は発作、虚血性脳障害、嘔吐、乳酸アシドーシスなどの有害影響をおこすことには決定的根拠がある
電子タバコの液体を意図的あるいは事故により飲んだり注射したりすると死亡することがあることには決定的根拠がある
生殖発達影響
電子タバコが妊娠の結果に影響するかどうかについては入手できる根拠がない
・母親の電子タバコ使用が胎児の発達に影響するかどうかについては根拠が不十分

報告書本文や要約等にリンク