食品安全情報blog過去記事

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FDA、食物繊維および他のいくつかの重要課題についてガイダンスを発表

FDA Releases Guidance on Fiber and Several Other Key Issues
March 1, 2018
http://s2027422842.t.en25.com/e/es?s=2027422842&e=56737&elqTrackId=B1F0B909CCF90C71B9C490C37BFE6647&elq=e8bd315a77a6470191724ae3ec1e14b0&elqaid=2617&elqat=1
2016年5月27日、FDAは、栄養成分表示の最終規則を発布した。この規則では、「食物繊維」の用語が定義されている。すなわち、「食物繊維」という用語は、ヒトの健康に対し生理学的に有益な効果を持つものだけについて用いることができ、ラベルに表記することができる。食物繊維には、果物や野菜などの自然に生成される繊維、植物原料からの抽出などにより分離あるいは合成された7種の非消化炭水化物(NDCs)が含まれるが、いずれにしろ生理学的な健康効果を有していなくてはならない
製造業者の中には、分離あるいは合成NDCを作成したので「食物繊維」として認めてほしいと請願する場合もあると思われるが、製造業者はそのNDCが生理学的な健康効果を有していることを示す科学的根拠を提示する必要がある。
食物繊維などに関する科学的レビューについてのこの最終ガイダンスは、請願者が認可を求めるNDCがヒトの健康に好ましい生理学的効果を有しているかどうかを示すのに必要な根拠として、どのようなものがどのような水準で求められるかを理解しやすく示している。
この最終ガイダンスでは、例えばNDCで血糖値の上昇が抑えられることを生理学的効果とする場合、試験においてNDCは、砂糖やデンプンを含む食品・飲料に加えられていなくてはならず、砂糖やデンプンのような精製炭水化物は血糖値を上昇させるため、それらを取り除いてはならないと明示している。また、食品が試験の対照群に提供される際にも、NDCは砂糖や精製炭水化物と同量加えられなくてはならないことも重要である。
好ましい生理学的効果と関連のある疾患を有している被検者に対する試験(糖尿病患者に血糖値を下げるとする食品など)の結果も考慮し、NDCがそうした病気を持たないヒトにも好ましい生理学的効果を示すかどうかを考慮する必要もある。
FDAは現在、新規のNDCsを「食物繊維」という規制の定義に含める請願に対応し、栄養成分表示規則の順守日に関する規則を最終化し、栄養成分表示に関連するいくつかの技術ガイダンス文書を追加で作成するために前進している。
この科学的なレビューガイダンスの最終版に加え、FDAは、ハチミツ、メープルシロップ、ある種のクランベリー製品への砂糖の添加の申告に関するガイダンス案、ハチミツおよびハチミツ製品の表示についての最終ガイダンス、通常消費基準量(RACCs)についての最終ガイダンス、および1食分量(Serving Size)最終規則に関する小規模業者向けコンプライアンスガイドを公表した。

  • 消費者向けの新しい食品栄養成分表示の速やかな実施に向けてのFDAの新たな取り組みに関するFDA長官Scott Gottlieb医師の声明

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., on FDA’s new efforts to advance implementation of the new consumer Nutrition Facts label for foods
March 1, 2018
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm598808.htm
米国民は、米国食品医薬品局(FDA)が、食品表示には必ず最新の栄養情報が示されるように機能しており、良く情報を得られた状態で食品を選択できるようにしてくれており、自分や家族の健康を増進させてくれると信頼している。私は栄養を優先順位の最上位に置いており、消費者が食事と糖尿病や肥満や心臓病などの慢性疾患との関係に関して、正確で科学的根拠のある情報を得られることを保証することが、任務の一部であると考えている。我々は、食事や栄養について学んだ科学を病気の負担を減らすツールとして用いる先進的な新しい方策を必要としている。我々は栄養成分表示をイメージを付したものに更新したが、それには、消費者がもっと情報を得た上で食事を選べるようにするという大きな変化が含まれており、われわれも既に多くの製品で新しい表示ラベルを目にしている。
栄養成分表示には、何十年も有意義な変更が加えられないできた。そのため今回のように新しく、より情報伝達的な表記に移すにあたっては、食品製造事業者と消費者とに慎重なガイダンスを提供することが重要であった。製品のラベルが新しくなる場合には、それをうまく実行に移すために2つの要素が重要である。まず、FDAが米国人に新しいラベルについて学びやすいようにし、良い食品の選択のためにラベルを利用することができるようにすることである。第二に、FDAは詳細で明確なガイダンスを食品製造事業者に提供し、遵守期限日までに栄養表示ラベルに必要な変更を行えるように支援することである。このため、FDAは本日、消費者向けに新しい表示に関して大規模な学習キャンペーンを開始する意向を発表し、業界向けには新しい表示の実施に役立ついくつかの重要なガイダンス文書を公表することとなった。
新しい栄養成分表示には、糖分の添加など、栄養に関する最新の根拠に基づいた情報が組み入れられ、消費者に食品の選択に役立つ詳細な情報が提示される。例えば、古い表示では、糖分の総量(g)は示されていたが、それが果物や野菜のような食品に自然に含まれていたものなのか、添加糖の定義に適合するものなのかは区別されていなかった。我々の目標は、食品中に添加された糖の量を意識し、最近の食事ガイドラインにおける推奨量に適合する消費者を増やすことである。また、新しい表示では、添加糖の新たな一日量も示されるようになり、消費者は、添加糖を用いた食事をどの位摂取すれば健康な食事パターンに適合するかをより良く理解することができる。
FDAはさらに、米国民が新しいバージョンの栄養成分表示を見て、スーパーマーケットの棚で手にする製品中の大まかな栄養含量を理解できるようにする学習キャンペーンを立ち上げようとしている。この機会に、我々は教育ビデオ、ソーシャルメディア、および利用しやすいウェブサイトを介して消費者を支援し、毎日行う献立の選択とそうした選択が自身や家族の健康に及ぼす影響との関係を見極め、肥満、糖尿病、心臓病、様々ながんなどを減らすことにつながるようにしていく。この活動は、更新されたラベルが市場に十分行き渡ったころに始められる。この情報提供キャンペーンは、その根本にあり、議会が設立し、FDAが栄養成分表示の更新で達成しようとしている国民の健康という目標を支援するものであり、消費者にとっては、新しい情報を用いてよく情報が提供された状態で食品を選び、食事と栄養を介して健康を向上させるのに役立つ。
FDAは同様に、業界向けに、新しいバージョンの栄養成分表示が効果的に実施するのに必要な情報を、タイミングよく提示する取り組みも行っている。FDAは本日、いくつかの重要な要素、即ち食物繊維、添加糖類、および1食分量申告などについて、さらに明確に記述した実践的なガイダンス文書を発行した。
そのうちの1つの最終ガイダンス文書*1には、食品に添加され、新しい表示では食物繊維として扱われる様々な難消化性炭化水素の効果についてFDAが探求してきた根拠の情報がより詳しく収載されている。2016年にFDAが食物繊維について根拠に基づいた定義を発表*4するより前は、製造業者は合成あるいは抽出・分離繊維をラベル上に食物繊維として表記することが可能で、その際、その繊維がヒトの健康に利する生理学的作用を有していなくても構わなかった。FDAの新しい定義では、果物、野菜および全粒穀物中に自然に生成される繊維を食物繊維とみなされており、抽出・分離されたあるいは合成された繊維では、7種類が科学団体によって生理学的有益性を有しているとみなされている。しかしFDAはまた、他の抽出・分離されたあるいは合成された繊維にも、ヒトの健康に有益である可能性を示す証拠があることを理解している。例えば、血中の糖やコレステロールのレベルを改善する、腸の動きを活発にする、食べた後の満腹感を増すなどの効果であり、これらはカロリー摂取の減少に導く。
FDAは、食品業界から提出された様々な難消化性炭水化物についての請願データを評価してきており、これらの請願に対してはまもなく判断を明らかにする予定である。FDAの目的は、繊維製品やその請願を評価する際の我々の科学的原則をより詳細に示すことである。我々は、これらの請願に最終的な判断を下す前に、新しい基準にどうしたら適合するかに関する明確なガイダンスを食品業界に提示したいと考えている。我々は、請願において情報を加えたいと望むかも知れない請願者に対して、その情報の書類を、より詳細なガイダンスに基づいて改訂する機会を持って欲しいと考えている。
我々は本日さらに、もう1件ガイダンス案*2を発行した。これは、業界がハチミツ製品、メープルシロップ製品および特定のクランベリー製品のラベルに添加糖類を申告する際に役立つものである。ハチミツやメープルシロップは、添加糖類に分類されているが、瓶入りハチミツやメープルシロップのような純粋製品や単一成分製品におけるラベルでも、添加糖類(added sugars)についての記載が栄養成分表示に載せられることになるため、調味用の砂糖が加えられていると消費者が誤解してしまうのではないかと懸念の声が業界から上がっていた。また、クランベリージュースの製造業者からは、クランベリーは他の果物と比べ、天然糖分が少ないため、甘みを加える必要があるということを聞いている。このガイダンス案では、こうした懸念に対し、製造業者が糖類の一日量のすぐ後にシンボルマークを置いて、消費者の目を、偽りなく“added sugars”について誤解を与えない脈略の通った情報および特定の各製品で“added sugars”が何を意味するのかについての情報を提供する文言に、直接向かわせるようにすることを許可する方向で対応している。
さらに、新たな栄養成分表示の実施においては、1食分量に関する新たな要件が含まれることになる。1食分量により、人々が実際に飲食したものをより正確に把握できるようになる。これについては本日最終ガイダンス*3が発行され、様々な製品に関して通常消費される適切な参照量が収載されており、製造業者が適切な1食分量を決定し、製品ラベルに表示するのに役立つ。
これらのガイダンスは全て、これらの重要な主題に関してより詳しい情報が欲しいというフィードバックを反映したものになっている。我々が新しい表示の実施に向けて前進しているのに合わせて発行されたこれらのガイダンスは、上述の重要な主題に関するFDAの現在の考えを提示しており、業界がFDAから求めていた情報を得るのに役立つと考えている。
昨年、FDAは、業界が新しい要件を実施するための時間を確保するため、新しいラベル表示の遵守期限を延長した。より具体的には、遵守期限は2018年の11月であったのが、年間1千万ドル以上の売り上げがある食品製造業者に対しては2020年の1月1日に、それより小規模の製造業者に対しては2021年1月1日に延長された。これは新しいラベルを製造したり、必要に応じて製品の仕様を変更するのに十分な時間を付与するためである。FDAは、今年の春に最終的な規則を発効する予定である。
それに先立って私は、回避可能な死亡事例や疾患をより良い栄養を介して減らすためのより詳細な栄養戦略を提示するつもりである。これは、最新の栄養科学を実践的な方法に翻訳する試みとなるであろう。それらの方法により、消費者は自分の食事や健康についてより良く情報を得た上で決断を下せるようにさらに推し進められるであろう。この栄養戦略は、食品ラベル表示の明確化などにより消費者が健康的な食品選択を行うのを支援するツールを提供し、食品製造業者にはより健康的な製品を製造する動機を生じさせるであろう。全ての米国国民が、最も良い栄養情報にアクセスして、自分や家族のために健康的な選択をできるようになることを望んでいる。
発行されたガイダンス
*1: Guidance for Industry: Scientific Evaluation of the Evidence on the Beneficial Physiological Effects of Isolated or Synthetic Non-Digestible Carbohydrates Submitted as a Citizen Petition (21 CFR 10.30)
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm528532.htm
*2: Draft Guidance for Industry: Declaration of Added Sugars on Honey, Maple Syrup, and Certain Cranberry Products
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm595578.htm
*: Guidance for Industry: Proper Labeling of Honey and Honey Products
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm389501.htm
*: Guidance for Industry: Reference Amounts Customarily Consumed: List of Products for Each Product Category
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm535368.htm
*3: Guidance for Industry: Food Labeling: Serving Sizes of Foods That Can Reasonably Be Consumed at One Eating Occasion; Small Entity Compliance Guide
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm389501.htm
その他の関連文書
*4: FDA Issues Request For Information and Draft Guidance on Fiber on the Nutrition Facts Label
https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm528534.htm