食品安全情報blog過去記事

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意見等

Re-evaluation of stannous chloride (E 512) as food additive
First published in the EFSA Journal: 25 June 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5295
塩化第一スズは、缶詰もしくは瓶詰のホワイトアスパラガスにおいてのみ(白色を安定化する)食品添加物として許可されている。適切な毒性データは得られているが、実際の使用量や食品中の濃度に関する情報は、関係団体から提供されていない。ミンテル社の全世界新商品情報データベース(GNPD)によると、塩化第一スズはEUノルウェーではどの製品にもラベル表示されていない。そのため、最大暴露量を規制目的で評価するためのシナリオには、現在EUで最大許容含量として認められている25 mg/kgを適用した。評価の結果は、以下のとおりである。
● 消化管からの吸収は非常に少ない。
● ラットの90日間試験で体重とヘモグロビンの減少が認められ、そのNOAELは63 mg/kg体重/日であった。
● 遺伝毒性や発がん性の懸念は無い。
● ヒトが短時間で40 mgを摂取した場合に、消化管刺激が認められた。
● 上記シナリオに基づくと、平均暴露量はどの年齢層においても1.3 µg/kg体重を下回る。
ANSパネルは、塩化第一スズ(E 512)は、現在認可されている用途および使用量では、安全上の懸念は生じないと結論付けた。

  • 2,5-ジクロロ安息香酸メチルの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for 2,5-dichlorobenzoic acid methylester according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005
First published in the EFSA Journal: 26 June 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5331
2,5-ジクロロ安息香酸メチルの農薬としての使用は特殊な用途(接ぎ木後のワイン用ブドウ)に限られており、ワイン用ブドウにおける残留は多くないと推測されるため、植物および動物由来製品における残留は起こらないと考えられる。Codexの最大残留基準値(CXLs)は示されていない。EU以外の国での使用は報告されていない。
消費者の暴露も無いと考えられるが、植物や家畜における代謝データおよび残留を規制するための分析法に関するデータは無く、残留の適切なマーカー化合物が特定できず、MRLsの導出は不可能である。デフォルトのMRLである0.01 mg/kgが、消費者の保護に十分な値であるかどうかの検証も不可能である。哺乳類における毒性に関して得られた情報は、わずかではあるが、2,5-ジクロロ安息香酸メチルの経口投与が有害であることを十分に示している。他の基準値を見ても、2,5-ジクロロ安息香酸メチルを基準設定対象外物質のリスト(EC規則396/2005の附属書IV)に収載することは支持されない。
したがって、リスク管理者が使用過誤の規制をしようとするのであれば、さらにデータを積み上げる必要があると考えられる。

  • 様々な農作物におけるイマザリルのMRLsの改定

Modification of the existing maximum residue levels for imazalil in various commodities
First published in the EFSA Journal: 27 June 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5329
Janssen Pharmaceutica NV社、Certis Europe B.V.社およびMakhteshim Chemical Works Ltd.社が構成したイマザリル専門グループは、柑橘系果実、リンゴ、ナシ、バナナ、ジャガイモおよび動物由来製品(ウシとウマの肝臓)におけるイマザリルのMRLs改定を申請した。これらのうち、リンゴ、ナシ、バナナおよびジャガイモについては、イマザリルの毒性参照値を超える短期暴露が消費者で起こるため、改定の対象から除外された。またバナナについては、新たな情報が提示されていないため、やはり改定の対象から除外された。
柑橘系果実については、収穫後に使用することが企図されているが、EFSAはMRL改定案を導出しなかった。これは、MRL改定の決定は、代謝産物R014821の遺伝毒性に関する評価が行われるまで延期する必要があるためである。
ウシやウマの肝臓については、柑橘系果実の副産物が飼料に用いられることによりイマザリル残留物が移行する可能性があるが、EFSAはMRL改定案を導出しなかった。これは、家畜で認められるFK-772やFK-284などの代謝産物について、遺伝毒性や一般毒性の検討が完了するのを待つ必要があるためである。
いずれの代謝物についても、イマザリルの毒性学的参照値が適用できるかどうかの結論を導けるデータが必要である。代謝産物の毒性学的性質に関する結論が導出されなければ、信頼性のある食事リスク評価の前提となる残留物定義を確立できない。

  • カモミールとオオバコにおけるクロマゾンのMRLsの改定申請

Modification of the existing maximum residue levels for clomazone in chamomiles and plantains
First published in the EFSA Journal: 27 June 2018
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5316
MRLsを既存の0.05 mg/kg(当時の定量限界に設定)から0.5 mg/kgに引き上げる申請。
申請に当たり申請者のLandesanstalt Sachsen-Anhalt社が提出したデータは、対象作物における改定MRL案を導出するのに十分であると判断された。対象作物の植物組織におけるクロマゾン残留物を管理できる適切で実用的な分析方法が利用可能となっており、その定量限界(LOQ)は0.01 mg/kgであることが検証されている。リスク評価の結果に基づき、EFSAは、報告されている農法に従ってクロマゾンが使用されている限りにおいては、生じる残留物を消費者が短期および長期摂取しても、健康上のリスクを生じる可能性は低いと結論付けた。クロマゾン残留物による輪作作物の汚染を避けるために、国レベルでリスク低減策として輪作を制限することを考慮する必要がある。