食品安全情報blog過去記事

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その他

Natureニュース
Peer-reviewed homeopathy study sparks uproar in Italy
09 October 2018  Giorgia Guglielmi
https://www.nature.com/articles/d41586-018-06967-0
ホメオパシー提唱者がラットの研究は有効性の根拠だと言うが他の科学者は論文に疑い
ピアレビューのある雑誌にホメオパシー治療でラットの痛みが和らいだという研究が発表され騒動になっている。イタリアではホメオパシー製品の表示について現在議論が行われていて、提唱者らがこの研究を有効性の根拠だとしている。著者はインドのR. C. Patel医薬品教育研究研究所の薬理学者Chandragouda Patilで、Scientific Reportsに発表
(Natureの出版社。以前もホメオパシーを証明したと主張するJacques Benvenisteの論文をNatureに掲載している。)
なお解析に間違いがあるとして修正していることとこの研究には批判があるという警告が加えられている。
動物数が8匹だけで盲検ではないことなどがソーシャルメディアで批判されている。また違う実験の図とされる2つの図が同一である。希釈濃度が本文と図で違う(10^-30と10^-8、むちゃくちゃ違う)
(ピアレビューや編集が機能していない証拠になっている)

  • 企業がお金を出した試験にゴーストオーサーシップが出没する

Ghost authorship haunts industry-funded clinical trials
09 October 2018  Matthew Warren
https://www.nature.com/articles/d41586-018-06986-x
製薬会社が解析に多大な寄与をしているがその貢献を報告していない
(ディオバン事件みたいなやつ。大学の先生のほうも大概)

Quackwatch
"Electromagnetic Hypersensitivity" Is Not a Valid Diagnosis
Stephen Barrett, M.D. October 4, 2018.
http://www.quackwatch.org/01QuackeryRelatedTopics/ems.html
2018年6月の米国の判決について更新。2015年に12才の少年とその両親が学校を相手に学校のWiFiネットワークのせいで病気になったと訴えていた。両親はJeanne Hubbuch医師による電磁波過敏症の診断書で裁判を戦ったが負けている。両親は上訴。Jeanne Hubbuch医師は「統合医療」を謳ってがんにホメオパシー治療などをしている。米国環境医学会の「認証環境医」。

  • コロンビアのグリホサート使用禁止方針後退

Moving back in policy banning glyphosate use in Colombia
Alvaro Javier Idrovo, Laura A Rodríguez-Villamizar
The Lancet Volume 392,ISSUE 10154, P1194, October 06, 2018
2015年5月、コロンビアの保健省はコカやケシの根絶のためのグリホサートの使用を禁止した。脆弱集団の住むジャングル地域で34年間使っていた。この禁止の決定は科学者と政治家の論争の末でIARCがグリホサートをヒト発がん性の可能性があると結論した後で予防対策として行われた。それから2017年9月26日には大統領がコロンビア革命軍ゲリラと和平協定に署名し1948年に始まって22万人以上の死亡をもたらした国際武力闘争を終わらせた。この紛争は違法作物や薬物の取引と重大な関連がある。この良い知らせは変化と和解への希望をもたらした。しかしこの和平条約プロセスの間、違法作物の栽培は増えたと報告されている。そして2018年6月17日に選ばれた新しい大統領は違法作物排除のためにグリホサートを再び使うと発表した。新しいやり方ではグリホサートの使用量を減らすためにドローンを使う。コロンビアは再び麻薬対策としてグリホサートを空中散布する世界で唯一の国となる。
この決定はヒト健康を守るための公共政策の後退のみならず、違法作物が栽培されているアクセス困難な地方に関連する複雑さを無視しているように見える。先住民や農家の都会からの視点、土地の保有権、有機塩素系農薬の使用、環境団体や人権団体による健康や環境への有害影響という主張などが含まれる。固有の脆弱さと農家になることの健康リスクを理解することなくコカの栽培が違法とされるようになるだろう。これはコロンビアでの新しい国際的武力紛争の始まりの兆候だろうか?この公衆衛生上の後退の健康上の帰結は?
(引用文献リストをみるに著者はグリホサートが猛毒だと信じているようだ。それこそが非科学の悲劇。ジャングルのような病害虫の多い地域であらゆる農薬が毒だと言われたらまともな農業などできないだろう。麻薬なら可能なのは闇での単価が高いからだろう)

  • 遺伝子壊し「編集」ゲノム編集食品 年度内ルール確定へ

阿部彰芳
2018年10月10日
https://www.asahi.com/articles/ASLB97F0HLB9UBQU01L.html?iref=com_apitop
(タイトルに悪意を感じるが・・
それはともかく、遺伝子とゲノムって用語としては別のものを意味するのだが日本語ではどういうわけか「遺伝子組換え」「ゲノム編集」で定着?
ここでは原文がgene editingなら遺伝子編集、genome editingならゲノム編集と直訳しているけれど、genomeはほとんど出てこない。
この朝日新聞のタイトルを意地悪く読むと、「遺伝子(個々のタンパク質をコードする遺伝子)」には手を入れずに並び替えで機能を「編集」した「ゲノム編集」は関係ないの?とか言えちゃうんだけど。多分そんなことは考えていないだろうけど・・。用語の使い方に、なんか釈然としない。業界の人の見解は?)