業者に対し製造、販売の自粛を要請、消費者にもアカネ色素が入った食品を食べない よう呼び掛けている 共同通信
厚生労働省発表は以下。
食品添加物「アカネ色素」に係る食品安全委員会への食品健康影響評価依頼について
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0618-1.html
ラットを用いた発がん性試験等において、腎臓に対し発がん性が認められたとの中間 報告を受けました。
(中略)
また、これまでの安全性試験の結果からみると、遺伝子に直接作用して発がん性を示 している可能性が示唆されております。
要するに遺伝子傷害性発癌物質である可能性が高いので、こういう物質についてのこれまでの扱いの例に従って食品添加物としての使用は認められない、ということです。発癌物質はDNAに直接作用して癌を引き起こすものと、他の作用で癌を引き起こすもの(成長ホルモンとか細胞を殺すとか)とに大雑把に分類できるのですが、そのうちDNAに直接作用するタイプのものは定量的には評価をせずとりあえず禁止にするのが前例。
ところで日本で使用が認められている食品添加物には、安全性と有効性が確認されたものとしての指定添加物と、
指定添加物リスト
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/407593771b8750e94925690d0004c83e?OpenDocument
345品目
安全性に関するデータはないがそれまで使われていたという理由で認められたものとしての既存添加物があります。
既存添加物名簿収載品リスト
http://www.ffcr.or.jp/zaidan/MHWinfo.nsf/0/3160c3dc1f6213e9492567f2001a7a59?OpenDocument
489品目
これらは食品添加物をポジティブリスト制(使っていいものだけリストアップする方式)にする際に、応急処置的に認められたもの、というわけです。
なので安全性に関する科学的根拠はなく、見直しが進められています。
厚生労働省のサイトには関連情報がいくつかあります。
食品衛生法及び栄養改善法の一部を改正する法律案に対する付帯決議
http://www.mhlw.go.jp/wp/seisaku/jigyou/02jisseki/2-1-3.html
食品添加物の指定及び規格基準並びに残留農薬基準については、国際的な基準も考慮 しつつ、科学的な根拠による安全性評価に基づき指定及び策定を行うとともに、最新 の科学的知見に基づき適宜見直しを行うこと。
食品衛生規制の見直しの基本的考え方
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2002/11/h1108-1c.html
安全性に問題のある既存添加物の使用禁止
要するに既存添加物は指定添加物より安全性は低い、ということです。
比較の問題ですから既存添加物が全て危険だということではないです。
ところがリストを見ればわかるように、既存添加物はほとんどが「天然添加物」なのです。
既存添加物の中のコウジ酸も既に廃止。見直しといってもこれだけの数があるといつ終わるのか。しかも指定添加物のデータが主に業者負担で集められているのに対して既存添加物の安全性試験には税金が使われています。諸外国で使用実績がないものは日本でデータを出すしかありません。普通に一式の安全性試験をするのに億単位でお金がかかります。中には 性状が不安定(ロットによって著しく異なる)だったり夾雑物の方が多かったりして 試験が不可能なものも多いのです。たまたまアカネ色素やコウジ酸がデータが先に出たというだけのこと。合成添加物はイヤだからといってこういうものを使うことは全く逆方向なのでむしろ指定添加物のみを使用している方が安全性は高いのです。
例えば着色料だと、合成なら0.001%で十分な色がでるところを、天然ならその数百倍以上使わないと色が出ない、しかも不安定なのでpH調節剤などの余計なものまで使う。それなのに天然添加物が使われるのは消費者の「合成は危険、天然なら安全」という思い込みが強固だからです。
「合成着色料・合成保存料 は使用していません」という表示は、「安全性の確認された指定添加物を使わずに安全性の確認されていない既存添加物を使っています」という意味なのです。
それでも「天然が安心」ですか?
ところでこのニュース、朝日だけはラットをマウスにして報道しているのですが(ネットでも紙でも)・・・誰も気がつかないのでしょうか?