食品安全情報blog過去記事

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コンフリーについての警告

スタミナ増強などの効果があるとされる健康食品「コンフリー」(別名シンフィツム)を食べた人が、肝障害などの健康被害を起こす恐れがあるとして、厚生労働省は14日、業者に自主回収と輸入、販売の自粛を求めるとともに、消費者に飲食を控えるよう呼び掛けた。時事通信 6月14日


厚生労働省の発表内容は以下。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2004/06/tp0614-2.html
シンフィツム(いわゆるコンフリー)及びこれを含む食品の取扱いについて
内容は業者に対しては製造・販売・輸入等の自粛で、消費者に対しては、
・販売されたコンフリー及びこれを含む食品の摂取を控えること
・自生し、又は自家栽培したコンフリーについても、その摂取を控えること
の二つ。
Q&Aも用意してあるのだけれど少し説明不足ではないかと個人的には思います。
例えばこの文章を読むとコンフリーはまるで猛毒のように思うのではないでしょうか。


なお、コンフリーが生育している環境中で生活していてヒトの健康に影響を及ぼすようなことはありません。


実際にどういうことが危惧されているのかは食品安全委員会かび毒・自然毒等専門調査会第一回および第二回会合の結果を見てみるとわかります。
http://www.fsc.go.jp/senmon/kabi_shizen/index.html

参考資料についてもほぼ全て出揃っているので、興味のある人にはおすすめ。
ただ一般の人にこれを見て判断しろというのは酷なので、厚生労働省がプレス用に準備したのが上述の文書というわけです。
マスコミ情報はさらにそれを短くして伝えているわけですが、食品安全委員会で見られる情報は素人には壁が高すぎ、厚生労働省発表はなんだか物足りない、と感じる人もいるのではないでしょうか。

コンフリーで最も問題になるのは「健康食品」として大量に、継続的に摂ること(コンフリーに限ったことではないが)。報告された健康被害も多くは「健康食品」として毎日お茶として飲んだり錠剤を食べたりしたケース。多分、庭に生えていたコンフリーの葉を数枚天ぷらにして食べた、というようなケースでは問題にならないと考えられます(ただし、もともと病気で体調の悪い人や乳幼児などには危険があるのかもしれない)。
コンフリーの有害成分はピロリジジンアルカロイドと総称されるアルカロイドで、これはフキやツワブキなどにも含まれます。だから単純にピロリジジンアルカロイドが入っているというだけの理由でコンフリーが危険ならフキもダメなはず。ただ現状では「健康食品」として大量に摂取する可能性があるのはコンフリーということでコンフリーについて警告した、ということのようです。フキが「健康食品」として売り出されていればコンフリーと同じような運命をたどると予想されるのです。
ピロリジジンアルカロイドは植物に含まれる成分の中でも危険性の高いほうですが、それでも少しくらいなら食べても解毒できるのが人間のすごいところ(そうでなかったら人類はとっくに滅亡しているでしょうけれど)。
問題はだからそういうものを大量に継続して食べること。もともとこの手の植物は苦かったり毛が生えていたりえぐみがあったりで、普通の料理では大量に食べることは難しいし、お茶にしたってとても「美味しい」とは言い難いもの。そういう味覚や嗅覚が嫌がっているものは通常は毒なのです。それを味がわからないように錠剤にしてみたりカプセルに詰めてみたり、頭でっかちに苦いのが体にいいのだと言い聞かせたりして食べ続けるという行為が健康被害につながるわけです。
これさえ食べれば健康になれる、などという食品は存在しません。
いわゆる「健康食品」のなかには他にも安全性に問題があるものが多数あるので、そういうものは摂らない、というのが一番賢いやりかただと思います。