食品安全情報blog過去記事

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シトロネラ油の香料としての安全性

Safety Summary of Citronella Oil as a Flavouring Agent
July 19, 2004
http://www.hc-sc.gc.ca/food-aliment/cs-ipc/chha-edpcs/e_citronella_oil_summary_01.html
有害生物管理規制機関the Pest Management Regulatory Agency (PMRA)は、シトロネラ油を活性成分として認定しないと決定したため、個人でもシトロネラ油をベースにした昆虫駆除剤を使用しないよう提案している。シトロネラ油は食品の香料としても使われているため、安全性を評価した。
シトロネラ油は主にセイロン及びジャワの二種が市場に出回っており、セイロンシトロネラは部分乾燥ハーブCymbopogon nardusの水蒸気蒸留により、ジャワシトロネラは新鮮又は部分乾燥ハーブCymbopogon nardusの水蒸気又は水蒸留により作られる。セイロンタイプのエッセンシャルオイルの成分は7-15%がアルデヒド、55-56%アルコールであり、薄い黄色で特徴的なシトロネラ臭がある。ジャワタイプは30-45%がアルデヒド、32-35%アルコールで、明るい黄色から褐色で強いレモン臭がある。
食品の香料としてはアルコール飲料や焼き菓子、冷凍乳製品、ソフトドリンク、キャンディーなどに使われている。使用量は食品によるが、通常は3から35 ppm、最大13から48 ppmである。
米国ではシトロネラ油はGRAS (generally recognized as safe)に分類され、香料としての使用は認められている。ECではジャワタイプがカテゴリー1(消費される量では安全性に問題はない)、セイロンタイプはカテゴリー3(活性成分に安全上問題がある)に分類されている。カナダではシトロネラ油の香料としての使用に基準はない。
今回JECFAの天然香料評価法と同様の方法で評価を行った。
セイロン、ジャワ両タイプのシトロネラ油は80以上の化学物質からなり、そのうち約50の化学物質が90%以上の油を構成する。主な成分はセイロンタイプがゲラニオール、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニル酢酸、リモネン、メチルイソオイゲノール、ジャワタイプがシトロネラール、ゲラニオール、シトロネロール、ゲラニル酢酸、リモネン、エレモール、セスキテルペンアルコールである。個々の成分が一日摂取量1.5micog/人/日未満の場合は問題がないとみなした。さらに構造式から化学物質のクラス分けを行い、それぞれのクラスで1800, 540及び90microg/人/日を閾値に設定した。シトロネラ油については食品香料としての摂取量は69 microg/人/日と推定され、1.5micog/人/日を超える可能性がある成分は、ゲラニオール、シトロネロール、カンフェン、β-クベベン、リモネン、メチルイソオイゲノール、エレモール、ゲラニル酢酸であった。β-クベベン以外はJECFAで評価済みでADIが設定されていた。β-クベベンについてはその摂取量は2.6micog/人/日と推定され1.5micog/人/日より僅かに多いだけなので安全性に問題があるとは考えられないとした。
シトロネラ油はその特徴的な臭いから使用量が多くなることはなく、香料としての使用では安全性に問題はないと結論した。


EFSA