食品安全情報blog過去記事

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FSAはピコリン酸クロムに関する助言を改訂

Agency revises chromium picolinate advice
Monday, 13 December 2004
http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2004/dec/chromiumupdate
ピコリン酸クロムを避けるようにという助言は撤回された。
2003年にビタミンとミネラルに関する専門家グループ(EVM)が、ピコリン酸クロムには遺伝子傷害性があることを示唆する証拠があると注意したため、FSAは消費者に対して、変異原性委員会(COM)からの助言があるまで他のタイプのクロムサプリメントを使うよう助言していた。
COMはクロム及びピコリン酸クロムの遺伝子傷害性について精査し、さらなる研究が必要だとしていた。そして2004年11月、COMが受け取った新しい実験結果に基づいてピコリン酸クロムは遺伝子傷害性ではないと結論した。
FSAはほとんど人は健康的でバランスのとれた食事から充分量のクロムを摂取できているとする。サプリメントでクロムを摂取したい人は上限の一日あたり10mgを超えないようにすることを推奨し、ピコリン酸クロムを避ける必要はない。

COMの声明
STATEMENT ON THE MUTAGENICITY OF TRIVALENT CHROMIUM AND CHROMIUM PICOLINATE
December 2004
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/Com/chromium.htm
6価クロムはヒトに対して発ガン性があることは明らかであるが3価クロムは溶解性が低く細胞膜を通過しないため毒性は低い。3価クロムが発ガン性があるとしたら究極の発ガン物質は6価クロムであろう。
ピコリン酸クロムは三価クロムであり、他の種類の三価クロムと違って中性pHで水溶性である。限定的ADMEの研究ではピコリン酸クロムの消化管吸収率は他の三価クロムより高く、六価クロムに近い。
EVMが懸念を持ったデータはin vitroのCHO細胞でのhprtの突然変異誘発が40倍に上昇したというもので、これについてCOMは2003年10月に、この実験が実験室で合成されたピコリン酸クロムを使用しており純度や品質に疑問があること、処置時間が48時間と長すぎることなどの問題があるとして国際的な標準プロトコールに従って市販の試薬を用いて再検討すべきであると助言していた。この再試験の結果、ピコリン酸クロムはS9活性化の有無にかかわらず、処置時間が48時間であっても変異原性はないことが確認された。また染色体異常誘発試験についても陰性であり、COMはピコリン酸クロムの変異原性はないと結論した。なおNTPによるピコリン酸クロムの発がん性試験が進行中で、この重要なデータが入手でき次第最終的な結論を出すべきである。