食品安全情報blog過去記事

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昆虫耐性遺伝子組換えトウモロコシBt11の栽培用・飼料・加工用としての流通通知に関するGMOパネルの意見

Opinion of the GMO Panel related to the notification for the placing on the market of insect resistant genetically modified maize Bt11, for cultivation, feed and industrial processing
Last updated: 20 May 2005
http://www.efsa.eu.int/science/gmo/gmo_opinions/922_en.html
特定鱗翅目害虫と除草剤グルフォシネートに耐性を持つ遺伝子組換えトウモロコシBt11に関する意見。
いくつかのEU加盟国から各国レベルでの評価により質問があったため、EFSAが意見を求められていた。
Bt11トウモロコシは1998年に指令90/220/EECのもと、SCPが輸入・加工・飼料用として評価し、承認されている。同じく指令90/220/EECのもと2000年に栽培について評価されている。またBt11由来の食品や食品成分は1999年にRegulation (EC) 258/97に従って認可されている。さらにBt11トウモロコシはRegulation (EC) 258/97のもと食品として認可されている。
Bt11の昆虫耐性はBacillus thuringiensis由来の変異Cry1Abタンパク質によるものであり、除草剤耐性はStreptomyces viridochromogenes 由来 phosphinothricin-N-acetyltransferase (PAT)による。トウモロコシのプロトプラストは二つの遺伝子の発現カセットを含むDNA断片で形質転換されており、Bt11は35Sプロモーターの制御下にcry1Abとpat遺伝子を発現する。Bt11はゲノムの単一部位に1コピーのみ形質転換に用いたDNA断片を持ち、挿入全配列がわかっている。この配列にはamp遺伝子配列の一部やベクター骨格の一部は含まれない。挿入によりトウモロコシ内因性遺伝子のORFが破壊されてもいない。また遺伝的にも安定し、メンデルの遺伝法則に従う。
葉や実はCry1AbとPATたんぱく質以外は伝統的トウモロコシと同等で、ヨーロッパに交雑可能な近縁種はないため環境影響も問題はない。
またBt10がBt11に含まれるという証拠はなく、Bt10の存在がBt11のリスクアセスメントに悪影響を与えてはいないと考える。
結論として、提案された使用方法ではBt11にヒトや動物の健康・環境への悪影響はない。