食品安全情報blog過去記事

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食品中アクリルアミド

Risk in Brief Issue No. 19: Acrylamide in Food
ttp://www.fehd.gov.hk/safefood/report/acrylamide/2005_0531_acrylamide.html
食品中アクリルアミドに関する短い解説。

2002年にスウェーデンの研究でジャガイモやシリアルなどのデンプン含有食品を揚げると比較的高濃度のアクリルアミドが生じることが発見された。アクリルアミドには発がん性がある。FAOやWHOなどの国際的科学コミュニティーはこの問題を深刻に受け止め、関連情報や食品中アクリルアミドを削減する方法についての国際的情報交換を促した。

アクリルアミドは臭いのない白色結晶状固体で、重合してポリアクリルアミドになる。
アクリルアミドは各種工業用に広く使用されている。
食品を120℃以上で加熱すると意図せず生じる。主なアクリルアミド含有食品はポテトチップ・クリスプ・コーヒー・ペストリー・クッキー・パン・ロール・トーストなどである。食品を茹でた場合にはアクリルアミドは生じない。またアクリルアミドはタバコの煙にも存在する。アクリルアミドは生物分解性で環境に蓄積しない。主な環境汚染源はプラスチック工業由来である。

IARCはアクリルアミドを、動物実験で発がん性があることと遺伝子傷害性であることから「ヒトに対して多分probably発がん性がある」(グループ2A)と分類している。
食品中に検出される以前のアクリルアミドの主な懸念は、職業暴露や事故による吸入や皮膚接触、飲料水の汚染であった。アクリルアミドは毒性の低いポリマーの形で飲料水の浄化処理の際に凝集剤として使用されている。しかし極微量の重合していないアクリルアミドが問題になり、WHOは飲料水中の基準値を0.5μg/litreとしている。香港でもこの基準が適用されている。
2005年2月にJECFAが評価を行い、暴露マージン(MOE)アプローチを採用して、平均的摂取量のヒトでMOEは300、高摂取群で75と計算し、この値が低いため健康影響に懸念があるとした。JECFAは新しい研究結果が出たら再評価を行うことも注記している。
香港では2003年に「食品中のアクリルアミド」「フライフリッター中アクリルアミド」の二つの研究を行い、米・麺類・ベーカリー・小麦粉練り製品ベースの食品中濃度は低く、チップス・クリスプ・ビスケットが高いこと、フリッターは低温・長時間調理の方が高温・短時間調理よりアクリルアミド含量が少ないことを明らかにしている。
食品中アクリルアミドのリスクを最小限にするため、FAOとWHOは食品を過剰に調理しないこと(高すぎる温度で長時間)を助言している。ただし肉類は病原体を殺すため充分に調理すべきである。一般的助言としては、野菜や果物をたくさん含む多様な食品をバランスよく食べることを薦めている。
食品産業は、特にポテトチップやクリスプ・コーヒー・ペストリー・クッキー・パン・ロール・トーストについて、アクリルアミドを削減する調理方法を開発すべきである。また新しく開発した加工方法が栄養価や他の微生物学的・化学的ハザードを増加させないよう注意するべきである。


WHO