食品安全情報blog過去記事

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ナトリウムの許容上限摂取量に関するNDAパネルの意見

Opinion of the NDA Panel related to the Tolerable Upper Intake Level of Sodium
22 June 2005
http://www.efsa.eu.int/science/nda/nda_opinions/974_en.html
ナトリウムは正常な細胞機能に必要な液体電解質バランスに関与する必須栄養素である。多くの食品にはナトリウムが含まれるため、ナトリウム摂取不足は非常に珍しい。
食品中の通常のナトリウム濃度は低いが、加工や調理又は食べる食前に食塩(塩化ナトリウム)の形で加えられて摂取される。主な添加目的は味付け・質感・保存のためである。
ヨーロッパにおける平均一日ナトリウム摂取量は3-5g(食塩として8-11g)で、必要量(成人で一日1.5g)を超えている。主な摂取源は加工食品で(総摂取量の70-75%)、未加工食品に含まれる天然由来のナトリウムが10-15%、食卓や調理で加えられる分が10-15%である。
塩化ナトリウムとしてのナトリウムの過剰摂取の主な有害事象は高血圧である。高血圧は虚血性心疾患や脳卒中・腎疾患のリスク因子で、これら疾患はヨーロッパにおける主要な病因及び死因である。塩化ナトリウムの摂取量の多さと血圧の高さには相関がある。血圧に有害影響を及ぼさない習慣的塩素摂取の閾値を決定するのは不可能である。
個人により塩化ナトリウムによる血圧上昇には違いがあるが、高血圧・糖尿病・慢性腎疾患・高齢者はナトリウムによる血圧上昇に感受性が高い傾向にある。ナトリウムの血圧上昇作用はカリウムのような他の食事要因・体重・運動量・年齢・性・遺伝的要因などにより変わる。
疫学研究ではナトリウム摂取量が多いと心血管系疾患のリスクが増加することが示されている。
ナトリウムには発がん性はないが塩化ナトリウムの大量摂取はニトロソアミンやピロリ菌などの発ガン物質への感受性を増加させることがある。
現在のデータでは食品からのナトリウム摂取量の上限を設定することはできない。
現在のヨーロッパにおけるナトリウム摂取量は高血圧の一因であり、従って心血管系疾患や腎疾患の発症と直接関係する。従ってナトリウムの摂取を削減する必要がある。