食品安全情報blog過去記事

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低用量放射は発ガンリスクの僅かな増加と関連する

LOW DOSES OF RADIATION LINKED TO SMALL INCREASE IN CANCER RISK
30 June 2005
http://www.iarc.fr/ENG/Press_Releases/pr166a.html
現在の放射線防護基準は主に1945年の広島・長崎の原子爆弾被害の生存者の研究からリスクを推定している。しかしながら現在懸念される状況は、一般人や労働者において、より低線量に長期間暴露された場合の安全性である。従って現行基準が適切かどうかを評価するためには低用量暴露による発がん性を評価する必要があった。
IARCは15カ国40万人以上の核施設労働者のガンマ線暴露後の白血病を含む発ガンリスクの後ろ向きコホート研究を行った。この研究の対象となったのは放射線量測定装置を装着している1年以上核施設で働いている労働者で、測定が困難な中性子や内部被爆プルトニウムなど)が多い労働者は含まれない。90%が男性で平均総作業時実効線量は19mSvである。6519の白血病以外のガンによる死亡と196の慢性リンパ球性白血病(CLL)以外の白血病による死亡が確認された。放射線の量によるガン死亡リスクを計算した。
その結果白血病を含むガン死亡の1-2%が被爆によると推定され、低用量エックス線及びガンマ線への慢性暴露によるガン死亡の増加は少ないと考えられる。
この研究の主な結果は低線量でも発ガンリスクの僅かな増加があるということである。
論文は以下
Risk of cancer after low doses of ionising radiation - retrospective cohort study in 15 countries, British Medical Journal Online First,
http://bmj.bmjjournals.com/cgi/rapidpdf/bmj.38499.599861.E0v1

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