食品安全情報blog過去記事

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母乳中難燃剤−ドイツの乳児にリスクはない

Flame retardants in breast milk no risk to infants in Germany
2005-07-19
http://www.bfr.bund.de/cms5w/sixcms/detail.php/6566
母乳は乳児の最良の食料である。
連邦環境局(Federal Environmental Agency,UBA)と連邦リスクアセスメント研究所との共同プレスリリース
母乳中の難燃剤はドイツの乳児のリスクとはならない。このことはBfRの行った研究で確認された。この研究でドイツの89人の母親の129検体の母乳のポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)の検査を行った。このデータから推定される乳児の難燃剤摂取量は4ヶ月の乳児で動物実験におけるNOAELの数万分の1以下である。北米で検出されている量は10-30倍高い。この結果からUBAとBfRは乳児にとって母乳が最良の食料であることに同意した。
PBDEは脂溶性で残留性のためフードチェーンに蓄積し血液や母乳から検出される。母乳は脂肪含量が高いためヒトの化学物質総負荷を示す重要な指標である。これまでドイツにおけるデータは散発的なものしかなかった。
1970年代からPBDEsは難燃剤として使用され、環境中に拡散している。PBDEsは200以上の単一化合物を含み、3つの技術的混合物として使われた。そのうちペンタ及びオクタPBDEは2004年8月からヨーロッパでは禁止されている。
この研究ではドイツにおける母乳中PBDEレベルはヨーロッパ諸国の中でも低いことを示した。暴露源は動物由来食品である。出産後2週間の混合食女性の母乳中平均レベルは母乳脂肪1グラムあたり2.47 nanogramで、ベジタリアン女性の1.65 ng/g 乳脂肪より高い。難燃剤を含むテレビやコンピュータのモニタの前で過ごす時間や母親の年齢は重要ではなかった。
出産後3ヶ月経ってからの母乳の検査では、徐々に低下していたダイオキシンやPCBの場合とは違って、PBDEレベルは一定であった。観察期間が短すぎたのだろう。一方母乳で育てた子どもの数が多いとPBDEレベルは低かった。
最終報告書“Residues of retardants in breast milk in Germany with special consideration of polybrominated diphenyl ethers (PBDSs)”は
http://www.umweltbundesamt.org/fpdf-l/2921.pdf
PDF 98ページ ドイツ語
http://www.umweltbundesamt.org/fpdf-l/2920.pdf
PDF 161ページ ドイツ語



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