食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ヒト環境化学物質暴露に関する第3次報告書についての説明

Telebriefing Transcript
Third National Report on Human Exposure to Environmental Chemicals
July 21, 2005
http://www.cdc.gov/od/oc/media/transcripts/t050721.htm
ウェブキャストの内容。
CDCは148の化学物質のヒト暴露に関する報告書を発表した。この種の報告としては最も大規模で最もわかりやすいものである。
内容としては、例えば1才から5才の子どものうち血中鉛濃度が10 microg/dl以上の割合がここ数年で急激に減少しており、最も最近の報告では1.6%になっている。
また4-11才、12-19才、20-74才の血中(ニコチン代謝物である)コチニン濃度が受動喫煙の低下のために過去10年で下がってきている。主に喫煙により増加するカドミウムについては、20才以上の5%で尿中カドミウム濃度が健康影響が懸念されるレベルより高い。
胎児に影響のある58microg/L以上の水銀値を示す女性はいなかった。
説明の後に質疑応答あり。
最も問題なのは何かと聞かれてカドミウムと答えている。解決方法は禁煙。次いで水銀とダイオキシン類を挙げている。
水銀については安全係数について議論している。
鉛の数値が下がったことについて、そのおかげで米国人のIQが上がったかと聞かれて、そのような調査はしていないと答えている。

(この質問は本質的かも。数値を下げることが目的なのではなく、病気が減ったり幸せな人が増えたりすることが目的なのである。)


報告書本文は以下からダウンロードできる。PDF 3M
サマリー フルカラーPDF18ページ 2M
http://www.cdc.gov/exposurereport/3rd/pdf/thirdreport_summary.pdf


フルレポート PDF 475ページ 3M
http://www.cdc.gov/exposurereport/3rd/pdf/thirdreport.pdf
目次の物質名をクリックすると目的のページに飛ぶようになっている。
調査項目は以下(検索するために列挙)
○金属:アンチモンバリウムベリリウムカドミウムセシウム・コバルト・ 鉛・水銀・モリブデン・プラチナ・タリウムタングステン・ウラン
○煙草:コチニン
多環芳香族炭化水素:1-ヒドロキシベンズ[a]アントラセン・3-及び9-ヒドロキシベンズ[a]アントラセン・1-ヒドロキシベンゾ[c]フェナントレン・2-ヒドロキシベンゾ[c]フェナントレン・3-ヒドロキシベンゾ[c]フェナントレン・1-ヒドロキシクリセン・2-ヒドロキシクリセン・3-ヒドロキシクリセン・ 4-ヒドロキシクリセン・6-ヒドロキシクリセン・3-ヒドロキシフルオランセン・2-ヒドロキシフルオレン・3-ヒドロキシフルオレン・9-ヒドロキシフルオレン・1-ヒドロキシフェナントレン・2-ヒドロキシフェナントレン・3-ヒドロキシフェナントレン・4-ヒドロキシフェナントレン・9-ヒドロキシフェナントレン1-ヒドロキシピレン・3-ヒドロキシベンゾ[a]ピレン・1-ヒドロキシナフタレン・2-ヒドロキシナフタレン
○ポリ塩化ジベンゾ-p-ダイオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン・コプラナー及びモノオルト置換ポリ塩化ビフェニル:OCDD・ HpCDD ・HxCDD・ PeCDD ・TCDD ・OCDF ・HpCDF ・HxCDF・ PeCDF・ HxCDF ・PeCDF ・TCDF・ PCB 28・ 66 ・74 ・81・ 105・ 118 ・126 ・156・ 157 ・167 ・169 ・189
○非ダイオキシンポリ塩化ビフェニル:PCB 52・87・ 99 ・101 ・110・ 128 ・ 138 158 ・146・ 149 ・151 ・153 ・170 ・172 ・177 ・178・ 180 ・183・ 187・194・ 195・ 196 ・203 ・199 ・206
○フタル酸類:モノメチルフタル酸・モノエチルフタル酸・モノ-n-ブチルフタル酸・モノイソブチルフタル酸・モノベンジルフタル酸・モノシクロヘキシルフタル酸・モノ-2-エチルヘキシルフタル酸・モノ-(2-エチル-5-ヒドロキシヘキシル)フタル酸・モノ-(2-エチル-5-オキソヘキシル) フタル酸・モノ-3-カルボキシプロピルフタル酸・モノ-n-オクチルフタル酸・モノイソノニルフタル酸
○植物エストロゲンダイゼイン・エンテロジオール・エンテロラクトン・エクオール・ゲニステイン・O-デスメチルアンゴレンシン
有機塩素殺虫剤:ヘキサクロロベンゼン・ヘキサクロロシクロヘキサン・ベータヘキサクロロシクロヘキサン・ガンマヘキサクロロシクロヘキサン・ペンタクロロフェノール・2,4,5-トリクロロフェノール・2,4,6-トリクロロフェノール・ジクロロジフェニルトリクロロエタン・p,p'-DDT・p,p'-DDE.・o,p'-DDT・クロルダン・オキシクロルダン・ trans-ノナクロール・ヘプタクロール・ヘプタクロールエポキシド・マイレックス・アルドリン・ディルドリン・エンドリン
有機リン酸殺虫剤、ジアルキルリン酸代謝物:ジメチルリン酸・ジメチルチオリン酸・ジメチルジチオリン酸・ジエチルリン酸・ジエチルチオリン酸・ジエチルジチオリン酸
有機リン酸殺虫剤、特定代謝物:マラチオンジカルボン酸・パラニトロフェノール・3,5,6-トリクロロ-2-ピリジノール・2-イソプロピル-4-メチル-6-ヒドロキシピリミジン・2-(ジエチルアミノ)-6-メチルピリミジン-4-オール/オン・3-クロロ-7-ヒドロキシ-4-メチル-2H-クロメン-2-オン/オール
○除草剤:2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸・2,4-ジクロロフェノキシ酢酸・2,4-ジクロロフェノール・アトラジンメルカプツール酸・アラクロールメルカプツール酸・アセトクロールメルカプツール酸・メトラクロールメルカプツール酸
ピレスロイド系殺虫剤:4-フルオロ-3-フェノキシ安息香酸・cis-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸・trans-3-(2,2-ジクロロビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸・cis-3-(2,2-ジブロモビニル)-2,2-ジメチルシクロプロパンカルボン酸・3-フェノキシ安息香酸
○その他殺虫剤:N,N-ジエチル-3-メチルベンズアミド・オルトフェニルフェノール・ 2,5-ジクロロフェノール
○カルバミン酸殺虫剤:2-イソプロポキシフェノール・カルボフランフェノール

*CDCは2001年には21物質、2003年には116物質の報告書を発表している。


この発表について例えばACSHは
Biomonitoring and Body Burden in Perspective
July 21, 2005
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.594/news_detail.asp
ヒトの組織からごく微量の化学物質が検出されたことがすなわち健康リスクに結びつくわけではない。活動家グループはこの結果を使って、例えば「毒のある化学物質が検出された」「この結果は氷山の一角にすぎない」と不安を煽るが、落ち着くように指摘している。



PSD 英国