食品安全情報blog過去記事

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食品及び飼料中のウランについてのBfRセミナー

BfR status seminar on uranium in foods and feedstuffs
2005-08-01
http://www.bfr.bund.de/cms5w/sixcms/detail.php/6600
ミネラルウォーター中のウランやウラン含有ミネラル肥料のリスクについて、過去数週間に渡って議論が行われた。BfRは7月21日にベルリンで"食品や飼料中にある重金属、放射性元素 ウランUranium, a heavy metal in foods and feedstuffs Uranium, a radioactive element"と題したセミナーを開催した。このセミナーで専門家が現在の知見を発表した。最初の結果は、現状では食品や飼料中のウランによる消費者への健康リスクはないというものである。同時に土壌からの様々な状態の食品へのウランの移行については未知の部分が多く、調査が必要であることもわかった。
ウランはいたるところにある放射性重金属である。ウラン化合物はある種の岩や鉱物の天然成分で、水や土壌や空気中に存在する。従って微量のウランは飲料水やミネラルウォーターを含めて多くの食品や飼料に検出される。
平均するとヒトは食品から1-4microgのウランを摂取している。その約半分が飲み物や飲料水由来である。BfRによる健康リスクアセスメントに加えてこのセミナーでも飲料水中ウランの評価を行った。
他にフードチェーン中でのウランの動態、特にリン酸含有肥料中のウランについて議論を行った。土壌中ウランの動態と食品への移行についてはさらに研究が必要である。
ウランの危険性については、専門家は化学毒性だけではなく放射性毒性についても討論した。ウランの健康影響評価には化学物質としての作用と放射影響の両方を考慮すべきであるということについては合意が得られた。採鉱場でのウラン汚染での知見からウランの評価や検体分析には化学型を考慮する必要があることが確認された。
基本原則として有毒物質の摂取はできるだけ少ない方がいい。消費者への予防的措置としてBfRは飲料水からのウラン摂取を減らすことを推奨している。乳児用ミルク調整用をうたうミネラルウォーターについては別の規制が適用されるべきである。
BfRは現時点では食品や飼料由来ウランによる何らかのヒト健康リスクが指摘されているわけではないことを付け加える。