食品安全情報blog過去記事

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リンの耐容上限摂取量についてのNDAパネルの意見

Opinion of the NDA Panel related to the tolerable upper intake level of phosphorus
25 August 2005
http://www.efsa.eu.int/science/nda/nda_opinions/1098_en.html
リン及びリン酸は細胞のエネルギー回路や全身の酸塩基平衡の制御などに関与する必須栄養素である。
ヨーロッパ諸国の推定摂取量は平均1000-1500 mg/dayで、多いところでは2600mg/day になる。リンの摂取量に対するサプリメントの寄与率は低い。
リンの過剰摂取による有害事象は、高リン酸血症から上皮小体機能亢進となり、骨格変形や骨損失、異所性石灰化などが動物実験で報告されている。しかしながらヒトでの研究では腎疾患末期患者以外ではそのような影響は報告されていない。短期間のリン投与試験では血中上皮小体ホルモンPTHレベルの増加が見られているが3000mg/day 6週間の長期投与では変化は報告されていない。さらに不適切なカルシウムやビタミンD摂取により誘発される上皮小体機能亢進状態を高リン食が悪化させるという根拠もない。
750mg/day以上のサプリメントを摂った健康なヒトでの浸透圧性下痢、吐き気、嘔吐などが報告されている。全摂取源からのリンの上限摂取量を設定するための根拠はない。
普通の健康なヒトは少なくとも3000mg/dayのリンの摂取で有害影響はないと考えられる。現在のEU諸国の摂取量でなんらかの有害事象があるという根拠はない。