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オメガ3脂肪酸、単価不飽和脂肪、多価不飽和脂肪及び不飽和脂肪に関する栄養クレームについてのNDAパネルの意見

Opinion of the NDA Panel related to nutrition claims concerning omega-3 fatty acids, monounsaturated fat, polyunsaturated fat and unsaturated fat
25 August 2005
http://www.efsa.eu.int/science/nda/nda_opinions/1096_en.html
提案されているクレームの評価を依頼された。
−オメガ3脂肪酸源:成人男性について100g又は100ml又は100kcalあたり推奨栄養摂取量(成人男性について2g/day)の15%以上を含む
−オメガ3脂肪酸が多い:成人男性について100g又は100ml又は100kcalあたり推奨栄養摂取量の30%以上を含む
−単価不飽和脂肪が多い:製品に含まれる脂肪酸の少なくとも45%が単価不飽和脂肪で、かつ飽和脂肪がエネルギーの10%を超えない場合
−多価不飽和脂肪が多い:製品に含まれる脂肪酸の少なくとも45%が多価不飽和脂肪で、かつ飽和脂肪がエネルギーの10%を超えない場合
−不飽和脂肪が多い:製品に含まれる総脂肪の70%が不飽和脂肪である場合


オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸には、アルファリノレン酸ALAと長鎖多価不飽和脂肪(主にエイコサペンタエン酸EPAとドコサヘキサエン酸DHA)の二つの機能の異なるカテゴリーがある。
提案されたクレームはこの両者を区別していない。ALAは必須脂肪酸EPADHAは心血管系疾患のリスクを下げるかもしれない。提案されている推奨栄養摂取量2g/dayは ALAの摂取量として世界各国で薦めている量の範囲(1-3 g/day)であるが、EPADHAについては多い(200-500 mg/day)。EUでの摂取量はどちらもこれらの推奨量より低い。
「オメガ3脂肪酸源」と「オメガ3脂肪酸が多い」については、重量/容量あたりでは適格となるがエネルギーあたりでは不適格、あるいはその逆になる食品などがある。これは参照量(100g・100ml・100kcal)が食品の典型的摂取量と関連づけられていないためである。


単価不飽和脂肪
単価不飽和脂肪酸は必須脂肪酸ではないが、食品中の飽和脂肪酸を単価不飽和脂肪酸に置換するとLDLコレステロールレベルが低下する。多くのEU諸国の飽和脂肪酸摂取量は推奨量(総エネルギーの10%)を超えているため、飽和脂肪摂取量を減らすために単価不飽和脂肪の摂取は重要である。
提案されたクレームでは、総脂肪に対する割合で表示されるためパンやビスケットのようなあまり重要な摂取源でない食品にも適用される可能性がある。一方でオリーブ油やサケなどの良い摂取源となる食品で飽和脂肪が10%を超えるため表示できない可能性がある。


多価不飽和脂肪
多価不飽和脂肪酸にはn-3(ALA 、EPADHA)の他にn-6脂肪酸(主にリノール酸)が含まれる。リノール酸は必須脂肪酸である。EUにおける多価不飽和脂肪酸摂取量は概ね推奨範囲(エネルギーの5-10%)である。提案されたクレームではコーン油や大豆油などが飽和脂肪酸含量が10%を超えるため表示できない可能性がある。また総脂肪に対する割合で表示されるためパンやシリアルのようなあまり重要な摂取源でない食品にも適用される可能性がある。


不飽和脂肪
(シス)不飽和脂肪は単価不飽和脂肪、n-6及びn-3不飽和脂肪からなる。
提案されたクレームはファットスプレッドのような比較的飽和脂肪酸トランス脂肪酸の多い食品にも適用される可能性があり、総脂肪に対する割合で表示されるため豆やシリアルのようなあまり重要な摂取源でない食品にも適用される可能性がある。