食品安全情報blog過去記事

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スズの耐容上限摂取量についてのNDAパネルの意見

Opinion of the NDA Panel related to the tolerable upper intake level of tin
25 August 2005
http://www.efsa.eu.int/science/nda/nda_opinions/1097_en.html
スズはヒトの必須栄養素であるとは考えられていない。スズは天然に食品中に存在し、塩化スズは食品添加物として認可されている。EUでの摂取量データはあまりない。英国では1.8-6mg/day、フランスでは2.7 mg/dayと推定されている。主な摂取源は缶詰果物・野菜である。
無機スズの消化管からの吸収は非常に低く、摂取量の98%は糞中に排出される。急性毒性は消化管影響で、腹痛や嘔吐、下痢、頭痛である。症状をおこす濃度としては缶詰食品で250mg/kg、缶飲料で150mg/kgとされる。ラットでは150mg/kg以上のスズを含む餌で食欲不振や消化不良などが観察されている。50mg/kg以上のスズを含む餌を与えると鉄・亜鉛・銅の濃度が下がることが報告されている。
ヒトでは30-50 mg/dayのスズの摂取で亜鉛の吸収が減少するという短期試験の報告がある。長期影響は不明である。
現在入手できるデータから上限を設定することは不可能である。現在のEUでの摂取量はスズによる亜鉛吸収阻害作用がおこる量を充分下回っている。缶詰食品や飲料については急性消化管症状予防のため、それぞれ200mg/kg及び100mg/kgの規制値が設定されている。