Scientific Committee on Health and Environmental Risks opinion on: “ Endocrine Disrupting Chemicals: a Non-animal Testing Approach” (BUAV report - 2004)
25 November 2005
http://europa.eu.int/comm/health/ph_risk/committees/04_scher/docs/scher_o_015.pdf
背景
1999年にCSTEEは内分泌攪乱化学物質の野生生物や環境毒性試験法に重点をおいた報告書を発表した。ヒトや野生生物の内分泌系に影響する化学物質に対する国際的懸念のため、委員会は1999年12月に内分泌攪乱化学物質に対する戦略を採択した。この戦略は規制の他にさらなる評価・研究対象となる優先順位リストを作成することに重点を置いた。特に問題となったのがヒトや野生生物に対する内分泌攪乱化学物質の影響をどのようにして評価するかである。どんな場合でも不必要な動物実験を減らすのが明確な目標である。
動物の生体解剖廃止英国同盟The British Union for the Abolition of Vivisection(BUAV)が内分泌攪乱化学物質の非動物試験法にかんする報告書を提出した。SCHERはその報告書に対する意見を求められた。
意見
BUAVはハザードキャラクタリゼーションなどを全てコンピュータモデルなどのin silicoや受容体結合解析などのin vitroで行い、動物実験は行わないことを主張している。
SCHERは「内分泌攪乱」はそれ自体は毒性学的エンドポイントではなく、様々な種で様々な有害影響を誘発する可能性のある多くの作用メカニズムの一部であるということを再度強調する。生体の内分泌系は非常に複雑で、In vitroでホルモン活性があったとしても直ちに有害影響があるとは言えず、BUAVの提案は重大な欠陥がある。In vitroだけでは信頼できるデータは得られない。使用する動物数を最小化するためにはEPAとOECDの提案するin vitro試験と動物実験の組み合わせによる段階的試験戦略を採用し、通常の毒性試験に動物数を増やすことなく内分泌影響を知るための項目を含めることを推奨している。
また強力なホルモンを高用量与えたときの有害影響については一般的に同意されているが、数人が主張しているいわゆる「低用量影響」についてはガイドラインに従った試験では再現できていない。そのような影響の評価には厳密な科学に基づいた根拠の重み付けによるアプローチが必要であり、さらに齧歯類とヒトの妊娠にはホルモン環境の大きな違いがあること、ヒトは多数のホルモン活性のある天然化学物質に頻繁に曝されていることを考慮すべきである。
野生動物の内分泌系に与える影響についての環境リスク評価については現行の方法では限界がある。これについてはSCHERはOECDによる環境影響評価のための科学的根拠のある試験法の見直し活動を支援する。
(動物実験に関する意見ではあるが、ヨーロッパの内分泌攪乱化学物質に対する認識の現状がわかるので紹介してみた。EUが予防原則で内分泌攪乱化学物質をとにかくダメだと言っているわけではないことを理解してもらいたい。EUですら単にホルモン活性があるから内分泌攪乱化学物質だなどとは言っていない。低用量影響についても認めてはいない。)