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ガンについての新しい見解:「エピジェネティック」変化が突然変異より先

New view of cancer: 'Epigenetic' changes come before mutations
21-Dec-2005
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2005-12/jhmi-nvo122105.php
12月21日にオンライン発行されたNature Reviews Geneticsの1月号にJohns Hopkins大学の研究者らが発表した見解。ガンは細胞の核にあるDNAの一連の変化から始まるというこれまでの見解は、より複雑な、幹細胞への「エピジェネティック」な変化から始まるという見方に取って代わられるかもしれない。ガンの発生に遺伝子の変異が起こることは変わらないが、それより先に「エピジェネティック」な変化がある、とAndrew Feinberg博士は言う。エピジェネティックな変化とは、DNA配列を変えるわけではなく、遺伝子の発現を活性化したり抑制したりすることなどで変化をもたらすものである。
この例として、インスリン様成長因子を二倍量発現するマウスは正常マウスより結腸上皮に発生初期段階の前駆体細胞が多く、このマウスに結腸ガンを誘発する遺伝子変異があると正常マウスの場合の2倍の腫瘍が発生することを挙げている。
Feinberg博士らの説では発ガン過程には3段階あり、最初に前駆体細胞のエピジェネティックな変化があり、次いでこの中で増殖初期段階の細胞に染色体再配列などの遺伝子の変異がおこり、第三段階として遺伝的及びエピジェネティックな不安定性により腫瘍が進化(変異を重ねてさらに悪性になっていく)していく。
Feinberg博士らによれば悪性腫瘍の播種性や転移性は最初の腫瘍を作るもととなった細胞に固有の性質である。
Nature Reviews Genetics  Volume 7, No 1 January 2006  p21 | doi:10.1038/nrg1748
The epigenetic progenitor origin of human cancer
Andrew P. Feinberg, Rolf Ohlsson and Steven Henikoff http://www.nature.com/nrg/journal/v7/n1/abs/nrg1748.html



ヘルスカナダ