食品安全情報blog過去記事

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BfRはケシの実のモルヒネ含量について暫定的最大摂取量と基準値の設定を提案

17.02.2006
http://www.bfr.bund.de/cm/208/bfr_empfiehlt_vorlaeufige_maximale_taegliche_aufnahmemenge_und_einen_richtwert_fuer_morphin_in_mohnsamen.pdf
PDF 48ページ
ポピーシード(芥子の実、正確には芥子の種)はP. somniferum L.の完熟した種で、 脂肪や蛋白質に富むため焼き菓子や食用油などの食品に使用される。同じ植物からアヘンが取れる。アヘンは未熟な実の汁を乾燥させたものである。最も良く知られた重要なアヘンアルカロイドモルヒネである。芥子の実にも極微量であるがアルカロイドが含まれる。
2005年4月にBfRは芥子の実による健康障害についてプレス発表を行っている。生後6週間の乳児が、母親からよく眠るようにと芥子の実を通したミルクを飲ませられて呼吸困難と意識障害で入院した。尿から高濃度のモルヒネコデインが検出された。BfRは料理用芥子の実はモルヒネコデインの量にばらつきがあることを指摘している。
今回食品に使用される芥子の実のモルヒネ含量が近年増加しているとのデータを得たため、健康リスクについて評価した。芥子の実のモルヒネ含量は収穫時期や産地により異なる。
芥子の実のモルヒネ含量の増加の主な原因はアルカロイドを含む種皮や樹液による汚染である。種を洗うとモルヒネ含量は著しく低下する。そのため芥子の実のモルヒネ含量の増加は、実を破砕する機械による収穫が導入されたためであると考えられる。
モルヒネは主に激しい痛みを緩和するのに使用される。副作用は吐き気・嘔吐・呼吸抑制・心拍への影響などがある。長期使用で肉体的精神的依存が生じる。個人により感受性は異なる。バイオアッセイではモルヒネは発達や生殖に悪影響がある。遺伝毒性もある。治療最小経口用量は1.9mgである。この用量はモルヒネ汚染のある芥子の実を食品として摂取した場合にも摂りうる量で、有害反応もおこる可能性がある。もし大量の汚染のある芥子の実をたくさん食べると意識障害心不全などの重大な影響が起こり得る。
このような高濃度汚染が危険で無視できないことは明らかである。より低濃度である場合にはどうであろうか?そこでBfRモルヒネについて「暫定的最大一日摂取量」を設定することを提案する。約6.3 microg/kg体重である。
BfRは製造業者に対して芥子の実の薬理活性のあるアヘンアルカロイド含量を、技術的に可能なところまで下げる努力を要請する。コデインノスカピン、パパベリン、テバインなどの他のアルカロイド含量も下げるべきである。製造業者の対応が完全になるまで、妊婦には芥子の実を多く含む食品(ポピーケーキ・ポピーシード入りデザート・ポピーシードのまぶしてある麺類など)を食べないように助言する。



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