食品安全情報blog過去記事

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2006年3月2日のCOC会合の議題

COC meeting 2 March 2006
21 February 2006
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/coc/meetings/coc2mar06.htm
議論のためのペーパーとして以下のようなものが掲載されている。

・環境汚染物質に関する王立委員会(RCEP)の農薬散布と住人や近くにいるヒトへの健康に関する報告書について
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/tox061.pdf
RCEPが農薬散布と慢性疲労症候群CFSや多種類化学物質過敏症MCSの関連を記述しているがCOTはMCSの根拠について1999年と2000年にレビューを行い、MCSは臨床的に定義された疾患ではないと結論している。その後の報告については評価していない。これを再評価すべきなのか?など
表にまとめたものが
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/tox061ctab.pdf
追加としてCOTの前立腺ガンに関する声明を再掲している
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc061addforcoc.pdf
前立腺ガン患者の数は近年増加しているが、これは主にPSAスクリーニングの採用と良性腫瘍の手術件数が増えたことによる。農薬暴露のある農場作業者と前立腺ガンの関連を示唆する限られた報告はあるが疫学などで確かな根拠はなく、今後も注目していく。


アスパルテームの発がん性に関するRAMAZZINI研究について
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc066.pdf
EFSAが評価中であるがFSAがCOCに見解を求め、EFSAによる評価の一助とする。
RAMAZZINI研究所は非営利団体で研究の他にホスピスケアなどの活動を行っており14000人の会員が協力して設立した。
実験の詳細は実験室内コロニーのSDラットを用いて生後8週間から0-10万ppmアスパルテームを生涯与えたものである。これは平均体重400gで20gの餌を食べるとしてFDAによるアスパルテームのADI 50 mg/kg bw/dayの0-100倍に相当する。対照としてこの研究所で過去20年間に行った実験の結果と比較しているが、個別の実験内容や全体の中のどういう例なのかは示されていない。RAMAZZINI研究所はこの実験で20mg/kg bwでもアスパルテームが多臓器発ガン物質であると主張し、これまでのバイオアッセイと結果が異なることについては自然死するまで飼育することと動物種の違いが原因である可能性を示唆している。COCの意見としては、自然死するまで飼育するというプロトコールは普通ではないこと、投与濃度の幅が非常に広いのに用量反応性が非常に少ないこと、最高用量はOECDの推奨する栄養状態に影響のない最大5%を超過し10%となっていること、飼料の説明がないが呼吸上皮の変化はアスパルテームの吸入による刺激である可能性があることなどを述べている。

・ 精巣ガンの傾向とリスク因子についての概論
Testicular cancer - Overview paper
http://www.advisorybodies.doh.gov.uk/pdfs/cc063.pdf
精巣ガンの発症原因として子宮内リスク因子(母親のホルモンパターンや食事)が仮説として提案されているが、その可能性についてレビューする分野を同定するために精巣ガン一般のレビューを作成している。現時点で良くわかっている精巣ガンのリスク因子は停留睾丸と上皮内ガンで、他の因子が関与しているとの合意はない。