食品安全情報blog過去記事

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ソフトドリンクやその他の飲料中ベンゼンについてのQ & A

Questions and Answers on the Occurrence of Benzene in Soft Drinks and Other Beverages
May 19, 2006
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/benzqa.html

  1. ベンゼンとは何か

ベンゼンは自動車の排気や、石炭や石油の燃焼で空中に排出される化学物質である。
また他の化合物や色素、界面活性剤、プラスチックなど多数の工業製品の製造に使用されている。

  1. 何故ベンゼンが問題になっているのか

ベンゼンはヒトガンの原因になりうる発ガン物質である。労働現場で高濃度の空気中ベンゼンに暴露された労働者にガンを誘発した。CFSANの2005/2006調査では100以上のソフトドリンクや飲料のベンゼン検査を行い、一部の製品に5 ppbを超えるものがあった。EPAが飲料水中ベンゼンの最大許容量を5ppbに設定している。

  1. ソフトドリンク中のベンゼン濃度は公衆衛生上のリスクとなるか

CFSANの2005/2006調査ではソフトドリンクやその他の飲料中のベンゼン濃度は消費者の安全上の問題にはならない。最近の調査で分析したほとんどの検体からベンゼンは検出されないか5ppb以下である。さらに国際的に各国政府機関や飲料業界が数百の検体を検査しているが結果は一致している。

  1. 飲料中のベンゼンはどこから来たか

安息香酸塩とアスコルビン酸(ビタミンC)を含む飲料からベンゼンが極微量(ppbレベル)生じうる。安息香酸塩とアスコルビン酸(ビタミンC)を含む飲料に熱と光を与えることでベンゼンの生成が促進される。安息香酸ナトリウム又はカリウムは細菌や酵母やカビの増殖を防ぐ目的で飲料に加えられる。さらに安息香酸塩はクランベリーなどのある種の果物やジュースに天然に含まれる。ビタミンCは飲料中に天然に含まれることも、栄養強化や腐敗防止目的で添加されることもある。

  1. 飲料中のベンゼンを除去又は削減するためにどのような対策が執られているか

FDAは飲料企業と協力して製品中のベンゼン生成を最小化する対策を行っている。例えばベンゼン生成に関与する因子の決定に寄与している。FDAは最近の調査で5ppb以上のベンゼンが検出された製品の工場に直接連絡を取っている。製造業者はベンゼンの生成を阻止又は最小化するよう製品の製造工程見直しを行っている。国際飲料協会評議会と米国飲料協会は全ての製造業者向けにベンゼン生成を最小化するためのガイドラインを作成した。FDAはソフトドリンクやその他の飲料中のベンゼン濃度検査を継続しており、結果が出次第情報を伝える。

  1. どのようにして問題がわかったか

FDAがある種のソフトドリンクにベンゼンが存在することに最初に気がついたのは1990年代である。この時はソフトドリンク業界からFDAに安息香酸塩とアスコルビン酸を含むある種の飲料で低濃度のベンゼンが生じる可能性があることが伝えられた。
FDAと飲料業界はベンゼン生成に関与する因子の同定のための研究を開始した。この研究の結果、安息香酸塩とアスコルビン酸存在下で高温と光がベンゼン生成を促進することがわかった。この結果から多くの企業が製品のベンゼンを削減又は除去する対策を執った。
2005年11月にFDAは安息香酸塩とアスコルビン酸を含むある種のソフトドリンク中に低濃度のベンゼンが検出されたとの報告を受けとった。FDAのCFSANが直ちにソフトドリンクやその他の飲料中のベンゼン濃度調査を開始した。安息香酸塩とアスコルビン酸を含む製品を含めた多くの製品から、ベンゼンは検出されないか、あるいはEPAの飲料水中基準5 ppbを超えるベンゼンは検出されなかった。

  1. どれだけの、及びどの製品に基準値を超えるベンゼンが検出されたか

FDAはCFSAN 2005/2006調査で100以上のソフトドリンク及びその他の飲料の検査を行った。5 ppbを超えるベンゼンが検出されたのは安息香酸塩とアスコルビン酸両方を含む4製品と、アスコルビン酸は添加したが安息香酸は加えていないクランベリージュース飲料1製品(クランベリーは天然の安息香酸を含む)である。データは以下。

  1. FDAのトータルダイエットスタディー(TDS)で報告されたソフトドリンクやその他の飲料中のベンゼンの結果についてはどうか

TDSは多様な食品中に含まれる汚染物質や栄養素の濃度を測定するFDAの継続中の計画である。TDSで使用されている分析方法は多くの食品から多数の残留農薬や工業用化学物質や栄養素などを検出するためにデザインされたもので飲料中のベンゼンを測定するためのものではない。FDAの1995-2001のTDSの結果では、最近報道機関が報告したように、ある種のソフトドリンクのベンゼン濃度が高く、最近のCFSANの結果と一致しない。さらにTDSの結果はピアレビューされた文献や各国政府や飲料企業の結果より高く、一致しない。TDSの分析法に関する現在進行中の調査では、ベンゼン濃度が高いのは飲料検体の分析方法の問題である。これがCFSANやその他の最近の結果より高い原因である。我々は違いの原因を調査中で、調査が完了し次第結果を公開する。


ソフトドリンクやその他の飲料中のベンゼンについてのデータ
Data on Benzene in Soft Drinks and Other Beverages
May 19, 2006
http://www.cfsan.fda.gov/~dms/benzdata.html
製品名と調査結果の表。検査方法二つの結果。
同じ製品同じロットでも保管状況や時間などによって異なる結果になりうることに注意。