食品安全情報blog過去記事

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飲料水中ヒ素

Arsenic in Drinking Water
May 30, 2006
http://www.hc-sc.gc.ca/iyh-vsv/environ/arsenic_e.html
ヒ素は地球の地殻に広く存在する天然元素である。井戸や飲料水からも検出される可能性がある。高濃度のヒ素暴露は健康に影響がある。
背景
全ての生物には微量のヒ素が含まれる。ほとんどのカナダ人にとって、ヒ素の摂取源は食品で、次いで飲料水、土壌、大気である。ヒ素の多いところに住んでいる人々にとっては飲料水が主要な暴露源となる。
ヒ素は鉱物の沈着物やヒ素含有岩石が溶解していると天然に湖や川や地下水に入る。 また産業廃棄物や塵、雨雪などに溶けたヒ素粒子から水に入ることもある。こうしたヒ素粒子は化石燃料の燃焼・金属の生産・農業使用・ゴミ焼却などで環境中に放出され得る。
カナダの飲料水中ヒ素濃度は一般的に0.005 mg/L(0.005 ppm)未満であるが、一部地域ではこれより高い。
ヒ素検査
ヒ素は味も臭いもなく飲料水に含まれるかどうかはわからない。しかしヒ素の検出される地域は限られているためその地域に住んでいなければ気にする必要はない。もしヒ素濃度の高い地域に住んでいる場合には検査を行うことを推奨する。検査のためには地域の保険事務所に連絡するように。
ヒ素の健康影響
飲料水中のヒ素は飲んだ場合に吸収されて血流により運ばれる。お風呂に入ったりシャワーを浴びたりして皮膚や肺から吸収されることはない。ヒ素は爪や毛髪に蓄積されるため爪や毛髪濃度が高い。ヒ素は主に尿から排出され、僅かに皮膚や髪、爪、汗から排出される。
ヘルスカナダとIARCはヒ素をヒト発ガン物質とみなしている。ヒ素の発ガン影響は天然に高濃度のヒ素を飲料水中に含む台湾に住む人々において研究された。0.35 ppm以上の非常に高い濃度のヒ素を含む飲料水を生涯使用すると膀胱や肝臓、肺などの発ガンリスクが増加する。また高濃度ヒ素への長期(数年-数十年)暴露は皮膚の肥厚・吐き気や下痢・血球産生減少・心拍異常や血管障害・手足の麻痺などを誘発する。
非常に高濃度のヒ素を短期(数日/数週)に飲料水から摂取すると、腹痛、嘔吐、下痢・筋肉痙攣や痛み・虚弱や皮膚の紅潮・手のひらの皮膚や足の裏の肥厚・運動や感覚応答の消失などを誘発する。子どもや妊婦、その他の感受性の高い集団で健康リスクが高いという研究結果はない。
リスクを最小化するために
ヒ素はガンを誘発するため、飲料水中のヒ素濃度はできるだけ低くすべきである。もし地下水に高濃度のヒ素を含む地域に住んでいるなら、井戸水の検査を行うべきである。
カナダ政府の役割
連邦・州・地方政府は安全な飲料水を供給する責任を共有している。ヘルスカナダは飲料水ガイドラインを作成するのに協力している。新しいガイドラインでは飲料水中ヒ素は0.010 mg/Lに設定した。



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