食品安全情報blog過去記事

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ヘルスカナダはトランス脂肪タスクフォースの最終報告書を歓迎

Health Canada welcomes final report from Trans Fat Task Force
June 28, 2006
http://www.hc-sc.gc.ca/ahc-asc/media/nr-cp/2006/2006_50_e.html
保健大臣Tony Clementはトランス脂肪タスクフォースによる最終報告書の発表を歓迎する。
今後タスクフォースによる提言をどのように実現するかについて他省庁との協議を行う。
トランス脂肪タスクフォース報告書は以下
食品供給を変容させる
TRANSforming the Food Supply
http://www.hc-sc.gc.ca/fn-an/nutrition/gras-trans-fats/tf-ge/tf-gt_rep-rap_e.html
トランス脂肪タスクフォースは2005年初めに、「カナダの食品中のトランス脂肪を如何にして効果的に最小化できるか」の戦略提言を目的に作られた。
トランス脂肪は液状の植物油を硬化させ安定化するための部分硬化工程で生じ、我々の食事中のトランス脂肪の多くは部分硬化油を使って作った食品由来である。
トランス脂肪は冠動脈心疾患との関連があり、血中LDLコレステロールを増加させHDLコレステロールを減少させる。2002年に米国科学アカデミーの微量栄養素委員会がトランス脂肪摂取量はできるだけ少なくするよう助言した。この委員会は、トランス脂肪が例えわずかであっても増加すれば冠動脈心疾患リスクが増加するとしてトランス脂肪の安全上限値を設定しなかった。2003年にはWHOがトランス脂肪摂取量は全体のエネルギー摂取量の1%未満にすべきと助言した。その後各国政府が対応しはじめ、2003年にはデンマークが世界で初めて加工食品中トランス脂肪の上限を食品総脂肪中2%に設定した。2005年にカナダは世界で初めて包装済み食品のトランス脂肪表示を義務化した。2006年には米国が一食あたり0.5g以上のトランス脂肪を含む食品に表示義務を課した。
カナダではカナダの食品中のトランス脂肪に関して1990年から科学者が懸念を表明していた。しかしながら部分硬化油の使用は増加し続けた。1990年代半ばにはカナダ人のトランス脂肪摂取量は世界でも最も高い方だと推定された。今日その状況は改善されている。栄養表示義務化による消費者の関心が製造業者に対してトランス脂肪削減を促した。例えば今やほとんどのパンやドレッシングはトランス脂肪を含まない。しかしながらまだトランス脂肪を多く含むものもある。表示のみではさらなる改善は難しい。
タスクフォースは多様な情報を集め、規制方法について検討した。その結果として以下の提言を行う。
・消費者に直接販売される食品は最終商品ベースで規制されるべきである。業者が調理するのに使う食品は成分(含量)ベースで規制されるべきである。
・植物油やマーガリン中のトランス脂肪は総脂肪量の2%に規制
・その他の食品については総脂肪量の5%に規制する。ただしその脂肪の由来が反芻動物の肉や乳製品のみの食品には適用されない。
・規制は2008年6月までに最終化されるべきである。
・基本的移行期間は最終規制発効後1年間。
・拡大移行期間は特定目的や中小企業限定で、移行はほとんどの場合最終規制発効後2年でできるであろう。
・カナダ政府や食品企業協会は関連業者に対し最も健康的な油の使用を薦めるべきである。


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