食品安全情報blog過去記事

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ヨウ素と強化

Iodine and fortification
21 July 2006
http://www.nzfsa.govt.nz/processed-food-retail-sale/fact-sheets/iodinelongqas.htm
FSANZはヨウ素強化についての評価報告書案を発表する。この案は2006年8月にパブリックコメントを受け付ける。この案ではニュージーランドとオーストラリアのヨウ素欠乏頻度を削減するため、ヨウ素強化の義務化を提案している。
コメント受付期間が短いので、コメントを提出したい場合は事前に準備をすることを薦める。以下の文書はその一助となるだろう。


・ 何故ヨウ素が重要で、もし食事から充分摂れないと何が起こるか?
ヨウ素はヒトの必須栄養素で、必要量は少ないが甲状腺ホルモンの重要な構成要素である。甲状腺ホルモンは人体の代謝状態維持と子どもの正常な発育や発達に必要である。特に胎児と小さい子どもにとっては重要である。ヨウ素欠乏症は低ヨウ素による多様な健康影響状態を説明するのに使用される。重大な影響の一つは甲状腺腫である。重度のヨウ素欠乏では、子どもに発育阻害と精神遅滞がおこる。聴覚や運動・認知機能への影響がある。


ニュージーランドではヨウ素欠乏は問題となっているか
1800年代後期から1900年代初頭までニュージーランドでもヨウ素欠乏症があり、甲状腺腫は普通に見られた。この頻度を下げるため、1924年に食卓塩にヨウ素が添加された。しかしこの効果は小さく、1938年には濃度を塩1 kgあたりヨウ素40-80 mgに増やした。食卓塩にヨウ素強化が導入された際、このヨウ素添加塩を家庭で使用することの利益を広報するためのキャンペーンが行われた。しかしながらヨウ素が添加されていない塩も常に入手可能であった。最近の研究ではニュージーランド人のヨウ素状態は介入が必要なレベルまで低下している。


ヨウ素欠乏が再興しているのは何故か
ヨウ素欠乏再興の理由は、市販の調理済み食品の摂取量増加、乳業でのヨウ素含有消毒薬の使用減少、減塩のための家庭での塩の使用量の減少などが考えられる


・ 食品から充分なヨウ素は摂れるか?
ヨウ素の摂取源はシーフード、ヨウ素強化塩、seameal custard、牛乳、卵である。野菜や果物に含まれるヨウ素は土壌中のヨウ素レベルを反映するがニュージーランドの土壌中ヨウ素濃度は低いため国産食品のヨウ素濃度は一般的に低い。肉や卵や乳製品などのヨウ素濃度は飼料中濃度を反映するが、現在ほとんどの消費者にとって適切な量のヨウ素を食事から摂るのは困難である。


・ 消費者にヨウ素サプリメントの摂取は推奨すべきか?
過小摂取と過剰摂取の差が非常に小さく、海藻や錠剤のヨウ素含量が大きく違うので専門家の助言を必要とする。


・ 食品中のヨウ素含量を増やすためにどうすることが提案されているのか?
国際的に好まれている選択肢は全ての塩にヨウ素を添加することである。


・ 食品中のヨウ素濃度が増えることで消費者に問題はあるか?
ヨウ素の摂りすぎは甲状腺ホルモン産生抑制をもたらし、低ヨウ素から突然ヨウ素摂取が増えるとヨウ素誘発性甲状腺機能亢進がおこる。しかしこれらはニュージーランドではおこりそうにない。


・ 食品中のヨウ素濃度が増えた影響はどうやって知ることができるか?
新しい基準が導入されたらその有効性と予期せぬ出来事をモニタリングすることが重要である。次回TDSヨウ素を含めるだろう。


一般向けには短いバージョン
ヨウ素
Iodine
21 July 2006
http://www.nzfsa.govt.nz/consumers/food-safety-topics/chemicals-in-food/iodine/index.htm