食品安全情報blog過去記事

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医師は規制されていない漢方薬治療の危険性を強調する

Doctors highlight the dangers of unregulated Chinese herbal therapy
20-Jul-2006
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2006-07/l-dht071906.php
Lancetの記事の紹介

漢方薬による尿路疾患と腎症
The Lancet 2006; 368:338
Chris Laing et al.
Chinese herbal uropathy and nephropathy
2003年7月、30才の中国人男性が血尿でロンドンの著者の病院に来院した。腎症と診断されたが、他に既往症や家族歴はなかった。彼は少なくとも5年以上、肝臓を強くするために漢方薬Longdan Xieganwanを摂取していた。初診から数日後、尿中に固形物が出たとして再来院し組織検査の結果移行細胞ガン細胞の塊が見られた。緊急膀胱鏡検査を行い、膀胱ガンを検出し切除した。CTで転移はなく化学療法を受けた。漢方薬の摂取は中止したにも関わらず膀胱に移行上皮ガンを再発した。2004年4月に行われた生検では漢方薬腎症に一致する間質繊維化が見られた。彼は末期腎不全に進行し、2006年6月には腎移植の準備をしていた。
Longdan XieganwanはCaulis aristolochia manshuriensis(ウマノスズクサ科の植物の茎)を含み、その活性成分はアリストロキア酸である。この物質には腎毒性があることが知られている。現在多くの国で禁止されているがいまだにインターネットで販売され続けている。

この件に関するエディトリアル
生薬学を忘れるな
Don't forget pharmacognosy,
The Lancet, Volume 368, Issue 9532, 22 July
2006-28 July 2006, Page 260
ハーブを含む全ての代替医薬品は副作用や薬物相互作用や汚染物質などの可能性がある。これらは医薬品同様規制が必要である。それらには品質の高い有効性の根拠が必要である。代替治療は個別治療だから適切な試験ができないというような見解は支持しない。