食品安全情報blog過去記事

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動物飼料中の望ましくない物質としてのヘキサクロロベンゼンに関するCONTAMパネルの意見

Opinion of the CONTAM Panel related to Hexachlorobenzene as undesirable
substance in animal feed
26 October 2006
http://www.efsa.europa.eu/en/science/contam/contam_opinions/ef402_hexachlorobenzene.html
ヘキサクロロベンゼン(HCB)は1945年に農薬として使用されはじめ、ヨーロッパでは1981年に農業用への使用は禁止された。しかしながら現在でも工業用化学物質として使用されており、焼却や工業用化学物質や農薬などの副産物などとして環境に放出されている。
HCBは極めて揮発性が高く脂溶性で環境中での持続時間が長い。そのため長距離を運ばれて脂肪組織に蓄積される。HCBはどこにでも存在し、世界中の環境や生物学的検体から検出される。HCBは残留性有機汚染物質(POPs)に関するストックホルム条約及び国連欧州経済委員会CLRTAP-POPに含まれる。
CONTAMパネルは現在環境や食品・飼料中に含まれる濃度を評価した。魚、特に魚油製品は一般的にHCB濃度が高い。しかしカボチャの種や植物油などの汚染地域由来植物製品にも稀に高濃度検出される。
HCBはヒトや動物に吸収されやすい。急性毒性は低い。主に肝臓に作用して酵素誘導やポルフィリン症が誘発される。HCBには免疫毒性があり、サルでは非常に低濃度で卵巣毒性を引き起こす。ミンクとウズラが最も感受性の高い動物種であるようだ。HCBはIARCにより、実験動物での発ガン作用に基づきヒト発ガン物質の可能性がある物質と分類されている。HCBは試験系により弱い変異原性があり、そのため遺伝子傷害による発ガン作用機序を完全に否定できない。
HCBは環境中や多くの食品や飼料に存在するが、過去20年間にヒト暴露量は最大90%減少した。最近の食事からの成人と幼児(母乳を飲んでいる乳児を除く)のHCB摂取量は、数ng/kg体重/日で、ガイドライン値170 ng/kg体重/日より遙かに低い。さらにラットで肝ガンを誘発する濃度とヒト暴露量との差の大きさから、公衆衛生上の懸念は低いと考えられる。



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