食品安全情報blog過去記事

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動物飼料中の望ましくない物質としてのDDTに関するCONTAMパネルの意見

Opinion of the Scientific Panel CONTAM related to DDT as an undesirable substance in animal feed
21 December 2006
http://www.efsa.europa.eu/en/science/contam/contam_opinions/eh433_ddt.html
DDTは1940年代に殺虫剤として使用されはじめた。工業用DDTには65-80%のp,p’-DDTが含まれ、その他にo,p’-DDT、p,p’-DDE及びp,p’-DDDが含まれる。p,p’-DDEとp,p’-DDDは生物分解産物でもある。特にことわらない場合にはこの意見における「DDT及び関連化合物」「総DDT」とはp,p’-DDT、o,p’-DDT、p,p’-DDE、o,p’-DDE、p,p’-DDD及びo,p’-DDDのことである。主な殺虫作用があるのはp,p’-DDTである。またDDTは殺虫剤ジコフォルの反応中間体で、最終製品に不純物として含まれる。
DDTは1970年代初期に多くのヨーロッパ諸国でほとんどの使用が禁止された。殺虫剤としてのDDTEUでは1981年から厳しく規制され1986年からは禁止されている。世界の多くの国ではDDTは禁止されているが、特にマラリア流行地域ではまだ使用されており、最近WHOがさらに拡大使用を推奨した。
DDT脂溶性で環境中に長くとどまるためDDTと関連化合物は食物連鎖を通じて生体濃縮される。DDTはPOPsに関するストックホルム条約とUNECE のCLRTAP-POP条約の対象である。
DDTはヒトや動物に吸収されやすくその半減期はラットでは1ヶ月ヒトでは4年である。
動物やヒトではDDTよりDDEがより持続性が高い。DDTとその関連化合物は乳や卵に移行し家畜や魚に蓄積する。DDTのほ乳類や鳥での急性毒性は低い。
毒性影響の主な標的臓器は神経系と肝で、他にホルモン系や生殖系、胎児発生、免疫系にも影響する。p,p’-DDEとDDDを含むDDTは実験動物の肝に腫瘍を誘発し遺伝毒性試験ではほとんど陰性である。IARCではグループ2Bに分類されている。JMPRによるDDTのPTDIは0.01 mg/kg b.wである。
DDTの評価に際してCONTAMパネルは現在環境や食品・飼料中に存在するデータを評価した。一般的に植物起源のものよりも動物由来製品、特に魚製品が汚染濃度が高かった。動物由来飼料中のDDT総量のうち50%以上をp,p’-DDEが占める。p,p’-DDEの占有率が低いとDDTの使用が最近のものであることを示す。植物由来製品については親化合物であるp,p’-DDTが多い。魚由来製品を含む飼料は一般的に数(2-3)mg/kgの濃度を含み、魚や動物に有害である量より遙かに低い。ただし最近又は現在もDDTが使用されている地域由来の飼料で濃度が高い可能性は否定できない。
環境中や多くの食品や飼料中に存在するものの、DDTのヒト暴露は過去30年間に最大90%減少している。ヒト暴露源の主要なものは動物由来食品で、最近のEU研究では平均摂取量は1日あたり5 - 30 ng/kg b.wである。この暴露量はPTDIより2桁以上低い。