食品安全情報blog過去記事

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不安扇動者へのバックラッシュ

Backlash against the anxiety makers
20.jan.07
http://www.sirc.org/articles/backlash.html
私たちのメディアウォッチページにある'恐怖とパニックScares and Panics'コラムには、毎朝新聞を賑わせる不安をかき立てる記事は少ししか載らない。専門家により無条件に安全だと宣言されているものを探すのは難しい。食べ物から電話、愛するペットに至るまで、隠された危険性は我々の生活の全てのことに潜んでいる。
しかしながら人々はもう充分だと思い始めている。我々は人類が今まで経験した中で最も安全な時代を楽しんでいることを知っている。進化は我々に生まれつき恐がりの性質を与えてはいるものの、我々は過度にセンセーショナルで非生産的な警告や生活様式の提案に飽き始めている。
The TimesにMary Ann Sieghartによる時代精神の転換を非常に良く捉えた素晴らしい記事が掲載された。子育て中の現代英国人をとりまく清潔ノイローゼについて、彼女はこう言っている
「最近のお母さんたちの行動からは、現代の英国がビクトリア時代より遙かに危険だと思えるでしょう。彼女らの頭に血が上った想像では、布巾はばい菌で一杯で街角には必ず幼児性愛者がいる。その結果、最近の子どもたちは、遅かれ早かれ直面する危険なことに対して免疫をつけるチャンスのないまま滅菌された世界で育てられる。」
Independent紙ではSir Terence Conranが同じようにこう述べている
「典型的な英国家族は、極めて賞味期限の短い、無菌環境で、医学的に作られたオーブンに入れるだけの食事で甘やかされ、アラブ人は誰も病気にならないタンジールのカスバでクスクスを食べて病気になる。」
同じ新聞でKate Watson-Smythは書いている。
「政府は人々にスーパーマーケットでは消費期限に注意し食事を作る際には手を洗うように助言しているが、科学者は農家の子どもたちにアレルギーや喘息が少ないことを発見している。彼らは乳児期に多くの細菌や微生物に曝されて免疫系が強化されているからだ」
同時に、もちろん、我々は「専門家」から、大腸菌O-157の危険性があるため、子どもたちを農場に近づけないよう警告されている。英国王立獣医大学のMac Johnson教授はペットが全て同様に危険だと主張している。彼はイヌの尻尾のような子どもの興味をひくものは全てO157の感染源になると言う。ただしイヌの尻尾でO157にかかった例は知らないと付け加える。
我々は先にこのような健康警告が子どもの命に有害であるという主張を行っている。
「健康増進キャンペーンですら有害な副作用がある。医師が親が「健康的な低脂肪高食物繊維食」で育てた子どもたちの間に見られる「ムースリベルト《中産階級の健康食品好きの人びとが多い地域》栄養不良」と呼ぶものがある。正常な発育に必要なカロリーを与えられていないのである。そのような「健康的な食事」の過度の促進や絶えざる肥満の警告が若い女性の摂食障害の発症に寄与することも知られている。」
このような不適切なメッセージを拒否する人々が増えている。誰かが不衛生だから・健康的でないから・又は危険だからと考えているという理由で、子どもたちの基本的な人生の楽しみ、ペットを飼ったり農場を訪問したり好きなものを食べたりすることを否定するには限界がある。

SIRCのメディアウォッチのサイト
http://www.sirc.org/media/media.html