食品安全情報blog過去記事

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CPSCはビニールランチボックスの報道を修正する

CPSC Corrects Record on Vinyl Lunchboxes
February 20, 2007
http://www.cpsc.gov/cpscpub/prerel/prhtml07/07107.html
不正確さが不必要に保護者を狼狽させている
最近の新聞報道と市民団体のウェブサイトでの発表は、CPSCのビニールランチボックスの検査知見を不正確に解釈したものである。CPSCは子どもたちを鉛汚染の危険から守るために長期間努力してきた。全国的な子どもたちの血中鉛濃度の低下は、塗料の鉛を禁止したり鉛を含む多数の金属ジュエリーのリコールを行ったりしてきたCPSCの努力にもよるものである。さらに最近ではCPSCは子ども用金属ジュエリーの鉛禁止法案を検討している。
専門の科学者スタッフが検査方法を設定している
CPSCの批判者は危険なランチボックスが政治的介入により放置されているというお話を作っている。批判者はCPSCの職員の電子メールにあったHSのイニシャルをHal Stratton議長と誤解しているが、これは健康科学Health Sciences部門の略称である。
2005年にCPSCの科学者が60検体のソフトビニールランチボックスの検査を行った。職員はランチボックスの内側と外側の表面を検査し、有害な量の鉛は検出されなかった。もしCPSCが危険な量の鉛を検出していたら直ちに対策を行うであろう。
CPSC職員によるリスクアセスメントは子どもたちが手を口に持って行きやすいといった行動を考慮したものである。CPSC連邦法では、総鉛量が対応要件ではなく実際にその製品からどれだけ鉛が取り込まれるかを考慮して対応が決定される。
結論
データをどう解釈しようとビニールランチボックスからの鉛暴露は健康リスクとならない。


・以下注
発端の記事は2006年7月20日付のFDA及びCPSCの発表。
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20060721#p1
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20060721#p2



「不正確な報道」とはこれのことかな
CNN
鉛を含むランチボックスに政府がOKを出した
Lead-laden lunchboxes OK'd by government
POSTED: 1:22 p.m. EST, February 18, 2007 http://www.cnn.com/2007/HEALTH/02/18/lunchbox.lead.ap/index.html
ハイライト(囲み)
・ 5つに1つのランチボックスが危険な量の鉛を含む
・ CPSCは「危険な量ではない」と言っている
FDAは製造業者に対して危険な量の可能性があると警告文書を送った
・ 専門家は血中鉛濃度の上昇は子どもにとって有害であると述べている
情報公開法によりメールやデータなどの内部資料を入手したところ、CPSCはランチボックスの素材そのものに含まれる鉛の量と溶出量の両方を測定していて、溶出量を元に危険はないと言っているが含有量では危険だというような内容。


ABC放送
政府は鉛汚染検査結果を隠蔽したのか?
Did Gov't. Conceal Lead Contamination Tests?
http://abclocal.go.com/kgo/story?section=7on_your_side&id=5020158
他フォックスなど各社が「CPSCが危険性を隠蔽した」というようなトーンで報道している


環境団体のウェブ記事とは多分これ
Center for Environmental Health
消費者保護局が子ども用ランチボックスの鉛のリスクを隠した
Consumer Protection Agency Covered Up Risks from Lead in Children’s Lunchboxes
February 18, 2007
http://www.cehca.org/news.htm#pressreleases
ランチボックスそのものの総鉛量が、塗料規制値より高いものがあったとして危険だとしている。さらにCPSCが最初の実験で出した値より、測定方法を改善して出した後の方の結果を利用してリスク評価を行ったことについて、意図的に低いデータを出すために改竄したと批判している。


ビニールランチボックスというのは以下に写真があるが、日本人が普通連想するお弁当箱のことではなく、お弁当を入れる袋のようなもの(ハム太郎もあるよ)。米国ではこれにパンや果物や飲み物を入れてランチにするらしい。
食品と直接接触するとしても固形物に限られるだろう。子どもが舐める、というのはあるだろうが、これを食べることはないと思う。
http://www.cehca.org/PhotosandFactsheets.htm
塗料については古くなって剥がれ落ちた塗料が体に取り込まれる可能性があるので規制されている値。