食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

ペットフードによるペットの死亡 米国、カナダ、メキシコ(第2報):アミノプテリン

Pet food fatalities, pets - USA, Canada, Mexico (02): aminopterin
25-MAR-2007
http://www.promedmail.org/pls/promed/f?p=2400:1001:9508470336743154596::NO::F2400_P1001_BACK_PAGE,F2400_P1001_PUB_MAIL_ID:1000,36840
[1]American College of Veterinary Internal Medicine (ACVIM)によるこれまでのまとめ、獣医師向け治療ガイド
24 Mar 2007
最近の全国的ペットフードリコールに関して、ACVIMはリコール対象となったペットフードを食べた動物の治療に関して、獣医師向けに以下の情報を集めた。
・ 2007年3月23日にニューヨーク州農業市場省がMenu Foods社の毒素がアミノプテリンであることを同定したとのプレスリリースを行った。
コーネル大学ニューヨーク州動物診断センターの毒性学者から受け取ったペットフード検体を食品検査室で調べたところ少なくとも40ppmのアミノプテリンが検出された。
・ アミノプテリンは米国以外の国で殺鼠剤にも使用されることのある葉酸阻害剤である。米国では殺鼠剤としては使用されていない。アミノプテリンは葉酸の4位にアミノ基が置換したものである。この物質は1940年代に抗ガン剤として使用されたがより毒性の低い葉酸類似体メトトレキセートに代替されている。高濃度ではメトトレキセートは尿細管への7-ヒドロキシメトトレキセートの沈着により急性腎不全や結晶尿を誘発する。アミノプテリンの毒性はメトトレキセートと同様であろうと考えられている。
・ これらの知見や最近のペットの死亡との関係はFDAにより確認されていない。FDAの発表は間もなくであろう。アミノプテリンの発見は重要ではあるがまだ発見されていないものがある可能性もあるので注意が必要である。
・ 動物の推奨検査に基本的変更はない。アミノプテリンの血液検査法はない。リコール対象の餌を食べたペットは病気の兆候(元気がない・嘔吐・下痢・食欲不振など)がないかどうか観察し、症状がない場合でも獣医に診察を受けて血球数・生化学検査・尿検査を受けるべきである。追加検査としては蛋白尿・尿培養・尿の顕微鏡観察などがある。
・ 処置法も変更はない。高窒素血症のペットは点滴を行って水分を補給し、尿細管の結晶を洗い流すために利尿する。アミノプテリンは尿細管に結晶を作るがpH7以上のアルカリ性で溶解する。重炭酸ナトリウムなどのアルカリ化剤が使える。抗酸化剤や葉酸投与もできるかもしれないが、毒素暴露後時間が経ってから与えた場合の有効性は証明されていない。
葉酸阻害剤による骨髄抑制が考えられるので、腎機能の他に血球数をモニターする。
・ 無尿や乏尿性急性腎不全で治療が奏功しない場合はACVIMの小動物内科医に連絡する。重症の場合は血液透析が検討されるができる病院は多くはない。
・ リコール対象の餌による腎不全の治療期間は現時点では不明である。腎機能への長期影響は不明である。死亡した場合には死体を解剖して組織をホルマリン固定し死因を調べるために病理診断を行うべきである。
・ 病理診断用検体はアイオワ州立大学獣医診断室やコーネル大学動物診断センターに送付する。
・ リコール対象となった餌も検査のために保持する。
FDAは症例の診断のために以下の定義を提供している:獣医師の診断した腎不全、死亡動物の剖検、一週間以内に未開封の問題の餌を食べた。もしこの定義にあう症例があればFDAに連絡する。
獣医向け最新情報は以下より
http://www.avma.org/aa/menufoodsrecall/default.asp
FAQ from The Animal Medical Center of New York City
March 26, 2007
http://www.avma.org/aa/menufoodsrecall/faq_nyamc.asp