食品安全情報blog過去記事

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誤解の季節

The Season of Misconception (from HuffingtonPost.com)
Jeff Stier
Thursday, May 10, 2007
http://www.acsh.org/healthissues/newsID.1544/healthissue_detail.asp
インディアナ大学の Paul Winchester博士によれば、6月から8月の間に妊娠した子どもは他の月に妊娠した子どもより試験成績が悪い。この驚くべき知見を,彼は夏の間に使用頻度が高い農薬のせいであると仮定している。
Paul Winchester博士の成果をGoogleで検索すると157のサイトがみつかるが、全て新聞記事やニュースサイトであり最も重要なピアレビューの有る医学雑誌のサイトは出てこない。それは当然で、彼の発表は学会発表であり論文にはなっていないのである。Winchester博士の理論は仮説であり因果関係に根拠はない。
例えば試験の成績が夏に悪かったとしよう。夏には日光が多く野球も多いのに仮説を作る際に何故これらも要因の一つとして想定しないのか?野球の7回に妊娠すると試験成績が悪いのかもしれない。
この発表はあまり科学的ではない。しかし何故メディアはこれを報道したのか?本当に伝えるべき健康上のニュースが不足していたのか?そして一般人はこのニュースにどう反応したか?試験成績を上げるために秋が来るまで妊娠を先延ばしするべきか?
限られた科学的資源がこのような無意味なものに浪費されていることに心を痛めて、私はWinchester博士の広報担当者(彼は広報担当者を雇っているのである)にこの研究の費用はどこから出ているのか尋ねた。広報担当者はインディアナ大学医学部の小児科であると答えた。本当だろうか?私はインディアナ大学が研究助成金事業をやっているのかどうかは知らない。実際に使われたのは連邦や州政府の資金で官僚が決めたのであろう。資金を与える決定を行った官僚が誰か教えて欲しい、彼らがいつ妊娠して生まれたのか尋ねるつもりだ。