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ヒト蛋白質を発現する米がカンザスに植えられる

Natureニュース
Rice with human proteins to take root in Kansas
18 May 2007
http://www.nature.com/news/2007/070514/full/070514-17.html
母乳に含まれる蛋白質を発現するよう組換えられた米がカンザス州で栽培される。5月16日にUSDAが栽培を認可した。
これは医薬品用蛋白質を産生する植物の米国での栽培認可としては初めてのものではない。しかしヒト蛋白質を含む食用作物の大規模栽培としては初めてである。多くの他の医薬品用GM作物は室内栽培又はタバコのような食べられない植物でのものである。
このVentria Bioscience社の開発した米系統は種子にリゾチーム、ラクトフェリン、ヒト血清アルブミンを作る。これら三つは母乳に含まれる。リゾチームとラクトフェリンは抗菌作用がある。Ventriaはこの米を下痢に効く飲料や貧血改善用サプリメントに使用するつもりである。製品が販売されて消費者に届くまでには他の機関による多数の規制ハードルを乗り越えなければならない。
この作物はペルーで試験栽培されており3月に暫定許可を与えられてUSDAはパブリックコメントを募集していた。2万件以上のコメントが寄せられ、そのうち賛成はわずか29であった。ただし反対意見の多くは様式を使った文書であった。
結局USDAは、Ventriaが提案した多数の対策により、米が環境中に放出されて食品にはいるという恐れはないと考えた。
2005年にはUSDAの監察総監室がGM承認が緩すぎると批判しUSDAは改善されたと回答している。
2006年にはUSDAは医薬品や工業用物質を発現するGM作物の野外栽培に関する申請を14件受け取り、そのうち10件は認可、3件は未決、1件は取り下げられた。