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妊娠とアルコール 新しいBMA報告書によればそれは危険なカクテル

BMA英国医師会 プレスリリース
Pregnancy and alcohol a dangerous cocktail says a new BMA report
(issued Monday 04 Jun 2007)
http://www.bma.org.uk/pressrel.nsf/wlu/SGOY-73UCMQ?OpenDocument&vw=wfmms
胎児性アルコールスペクトラム障害(FASD)により学習や身体的障害や問題行動が引き起こされる。この生涯にわたる状態は個人やその周囲の人の人生に大きな影響を与える。6月4日に英国医師会が発表した新しい報告書では、この障害は妊娠中にアルコールを全く飲まないことで完全に予防できるという事実を述べている。
この報告書Fetal alcohol spectrum disorders’ではFASDの診断がいかに困難で、保健担当専門家たちによりよい診断と治療のガイドラインが必要であるかを述べている。
英国政府は最近ガイドラインを改定して妊娠女性又は妊娠を計画している女性には飲酒を避けるよう助言している。もし飲酒を選択するのであれば、赤ちゃんへの影響を最小化するために週に1-2回、1-2単位以上は飲むべきではない、としている。しかしBMAの報告書では、どれだけの酒がどれだけのアルコール量に相当するのかを明確に理解できないためこの助言は間違って解釈される可能性がある。アルコール分が酒の種類により多様で、バーやレストランでの測定法が違うことなどにより女性がどれだけ飲んでいるのかを理解するのは難しい。
英国政府の新しい助言が医学専門家から批判されているため、BMAはより明確で根拠に基づいたガイドラインを求めた。
英国はヨーロッパでも最も無茶な飲酒が多い国の一つで、十代の妊娠率も高い。妊娠初期には多くの妊婦が妊娠に気づいていないまま飲酒を続けている。
妊婦の大量飲酒がFASDのリスクとなることは証明されている。この報告書では低用量から中用量のアルコールでも影響があるという証拠が積み重ねられつつあるとし、妊娠中又は妊娠を予定している女性にとって安全な飲酒量はないというのがただ一つの明確なメッセージである。
妊娠に気がつく前に飲んでしまった女性はパニックを起こさないように。しかし妊娠していることがわかっている女性はアルコールを減らすよう、完全に飲まないのが望ましい。
提言として以下のようなことを挙げている。
・ 保健専門家は、妊娠中又は妊娠を予定している女性に飲酒についての明確で一貫した助言を行うこと。
・ 妊娠中又は妊娠を予定している女性で飲酒癖のある女性には禁酒を助けるカウンセリングなどの対策を行うこと。
・ 一般人のFASDについての理解を深める最も有効な方法を研究する。
報告書本文
Fetal alcohol spectrum disorders - a guide for healthcare professionals
PDF 70ページ
http://www.bma.org.uk/ap.nsf/AttachmentsByTitle/PDFFetalalcohol/$FILE/Fetalalcohol.pdf


なお英国保健省は5月25日付でアルコールに関する助言を更新している
Updated alcohol advice for pregnant women
Friday 25 May 2007
http://www.gnn.gov.uk/environment/fullDetail.asp?ReleaseID=287152&NewsAreaID=2&NavigatedFromDepartment=False
改訂版では
・ 妊娠女性又は妊娠する予定のある女性は飲酒すべきではない
・ もし飲酒を選択するのであれば、赤ちゃんへの影響を最小化するために週に1-2回、1-2単位以上は飲むべきではない
更新前の助言は、「妊娠女性又は妊娠する予定のある女性は、週に1-2回、1-2単位以上は酒を飲むべきではない」というものであった。改定は新しい科学的証拠が出たからではなく、理解しやすいようにするためである。先の助言が「妊娠中には少しだけなら飲んでもいい」と誤解される可能性があった。現実にはほとんどの女性が妊娠中は断酒するか極僅かしか飲まないため、若干強いメッセージに改定した。
(1単位はエタノールで10ml)



EurekAlert (http://www.eurekalert.org)より