食品安全情報blog過去記事

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水銀−自閉症戦争

The Mercury-Autism Wars
Dr. Marvin Schissel
June 28, 2007
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.985/news_detail.asp
2007年6月26日、報道番組Nightlineでまたワクチンが自閉症の原因だと主張するGeier一家の主張が放送された。このような信仰は個人の偏執的思いこみにとどまるのであれば気の毒なことではあるが恐ろしい害悪にはならない。不幸なことにこの種の主張は政策・法律・ワクチン生産・病気と闘う保護者そして自閉症の子どもたち自身に影響する。
現在連邦裁判所でこの国の予防医学計画に大災害をもたらす可能性のある裁判が行われている。科学的根拠無しに、親たちが、チメロサールを含むワクチンが子どもたちを自閉症にしたのだと主張している。科学的根拠がないならこの裁判には何の意味もないと考える人もいるかもしれないが、裁判所の判断というのは科学の判断とは全く違うものである。そしてもしこの裁判で原告が勝訴すれば、同様の訴訟を行っている数千の親たちが勢いづき、多分製薬会社はワクチン製造を止めるであろう。
ワクチンと医薬品の経済的利益には大きな差がある。一般的な医薬品は毎日、一日に何回か飲むので、そのたびに製薬会社に利益がもたらされる。しかしワクチンは、毎日使うわけではなく多くのものは一生に一回しか使われない。研究や開発には普通の医薬品と同じ資金が必要であるにもかかわらず、経済的メリットは極僅かである。だからもし製薬会社がワクチン開発には(訴訟による)大きな経済的リスクがある割には収入が少ないと結論すれば、ワクチンを作る動機は無くなってしまう。近年多くの会社がワクチン製造を止めている。 まだワクチンを製造しているわずか4-5社がジャンクサイエンスによる法的措置でワクチン製造を止めたら我々はどうなるのだろう?
根拠のないワクチン批判騒動は最高潮に達している。例えばWright一家の苦難が最近ニュースになっている。Katie Wrightには自閉症の子どもがおり、彼女の偉大な両親は孫のためにAutism Speaksという自閉症研究促進のための重要な団体を作った。しかし子どもを治したいと必死なKatieは根拠のない怪しい治療方法を薦める人たちに取り込まれ、そうした代替療法を賞賛する宣伝を多数行った。そのことがAutism Speaksがそのような根拠のない治療法を認めたと見られたくない両親を不快にさせた。彼らはKatieの発言と公式に絶縁した。
また反水銀陣営にはRobert Kennedy Jr.も加わった。彼は最近のブログで、「水銀とチメロサールと各種の神経症状には否定できない関係がある」と書いている。彼がチメロサールと金属水銀の区別がついていないこと、用量が問題であることを理解していないことは明白であり、世界中でチメロサール自閉症の関係が否定されていることを無視している。彼の説明によれば世界中の政府と巨大製薬企業が手に手を取って大衆から真実を隠しているのだそうだ。
反水銀運動のバイブルとされるEvidence of Harm の著者であるDavid KirbyやCBSニュースのSharyl Attkissonもいる(このへん略)
彼らの活動は科学ではなく偏執的妄想や強欲に導かれているものである。自閉症の子を持つ親の助けを求める気持ちは無惨にも悪用されているのである。私が恐れているのはこうした熱狂により、私の息子も含めた自閉症の子どもたちにとって本当に役に立つ研究ができなくなることである。

(Dr. Marvin Schisselは歯科医でありACSHと健康欺瞞と闘う国民会議(NCAHF)とサイコップCSICOPのアドバイザー。)