食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

MON863トウモロコシの90日間ラット混餌投与試験データの解析についてのGMOパネルの声明

Statement of the Scientific Panel on Genetically Modified Organisms on the analysis of data from a 90-day rat feeding study with MON 863 maize
28 June 2007
http://www.efsa.europa.eu/en/science/gmo/statements0/gmo_statement_mon863_ratfeeding.html
2004年にEFSAのGMOパネルはMON863トウモロコシの輸入と加工、飼料や食品への使用の安全性について意見を発表し、その直後に声明を発表している。これらの文書においてMON863トウモロコシは提案された使用方法においてヒトや動物の健康及び環境に悪影響はないと結論している。GMOパネルが評価した研究の一つがMON 863トウモロコシの粒を用いたラットへの90日間混餌投与試験である。
その後この試験に関する二つの科学論文が発表された(Hammond et al., 2006; Seralini et al., 2007)。
Hammondらはこの試験の研究と結果をモンサント社のオリジナル論文より詳しくなく解説している。Seraliniらはモンサント社のオリジナルデータの統計学的再解析を行い、「このデータからMON863トウモロコシが安全だとは結論できない」と結論している。欧州委員会は2007年3月15日にEFSAにこの解析が先の意見に影響するかどうか諮問した。それに回答するため、EFSAは統計解析専門委員会を招集した。専門委員会の結論は別に報告されている。さらにEFSAは加盟国に意見を求め、著者らの統計学的手法を完全に理解するために著者らと技術的会合も行った。


MON 863の90日間ラット混餌投与試験評価のための統計解析についてのEFSAレビュー
EFSA review of statistical analyses conducted for the assessment of the MON 863 90-day rat feeding study
28 June 2007
http://www.efsa.europa.eu/en/science/scientific_reports/statistical_analyses_MON863.html
大量の文書だが、要するにSeraliniらの使った統計手法とその結論は間違っているということ



一方CRIIGENはNK603について発表
Rapport du CRIIGEN sur le NK603
June 2007
http://www.criigen.org/nk603.pdf
グリーンピースの発表とは異なり、論文形式ではなく単なるコメント。モンサントの提出したNK603の試験データについて些細なことにただ文句をつけているというもの。
結論として実験をしたのがモンサント社だからダメ、スライドやネズミが全部公開されていないからダメ、農薬と同じさらに長期で複数の齧歯類を使った安全性試験が義務ではないからダメ、というような関係ない主張。
しかし上述のようにセラリーニ教授の統計手法に問題有りと明言されてしまっている以上、説得力はない。