食品安全情報blog過去記事

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EFSAは遺伝子組換えトウモロコシMON863のリスク評価を再確認

EFSA reaffirms its risk assessment of genetically modified maize MON 863
28 June 2007
http://www.efsa.europa.eu/en/press_room/press_release/pr_efsa_maize_Mon863.html
欧州委員会の要請により、EFSAは遺伝子組換えトウモロコシMON863の動物での90日間混餌投与試験の統計学的評価についてのSeraliniらによる論文を精査し、EFSAのMON863の安全性に関するリスクアセスメントに影響するかどうか検討した。この論文は、最初のリスクアセスメントで検討された90日間ラット試験の異なる統計解析を提示したものである。EFSA専門委員会による詳細な統計学的評価と解析により、GMOパネルは、このデータの再解析は何ら新しい問題点を指摘するものではない、と結論した。
EFSAはこの問題に関して欧州委員会に熟考した回答を行うために一連の対応を行った。
・ 加盟国にこの問題についての意見を求めた。
・ EFSAは、著者が行った統計学的方法論を評価するため、内外の統計学
専門家からなる専門委員会を作った。
・ EFSAのGMOパネルは全ての入手できる根拠を評価した。
こうした作業を行って、EFSAは欧州委員会に回答した。主な結論は
・ 著者らが行った統計解析はある種の重要な統計学的検討事項を考慮していない。彼らの採用した統計学的方法論の元になっている推定は、間違った結果を導くものである。
・ EFSAは、この論文はMON863の安全性に疑問を投じるしっかりした科学的根拠は提示していないと考える。
モンサント社やSeraliniらやEFSAの報告に見られる統計学的有意差には生物学的な意味はないと考えられる。観察された統計学的有意差が有害作用の指標になるという根拠はないため、GMOパネルはこの論文がMON863トウモロコシの安全性について新しい問題を提起するものであるとは考えない。従ってGMOパネルは、MON863トウモロコシが提案された使用方法において有害影響はないであろうという先の意見を変更する理由はない。
この最新の作業の前に、MON863はEFSAや他の機関により包括的にリスク評価されており、ヒトや動物や環境に有害な影響は認められていない。この論文で解析された90日間ラット試験はMON863トウモロコシの総合的リスク評価の一要素である。2004年4月の最初の意見に加えてこの試験はさらにこの仕事の前に2回、レビューされている。


欧州委員会への回答文書は以下
Letter to M. Robert Madelin, Director-General Health & Consumer
http://www.efsa.europa.eu/etc/medialib/efsa/about_efsa/structure/who_is_who/cgl.Par.0060.File.dat/dir_cgl_letter_com_mon863.pdf