食品安全情報blog過去記事

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Andrew Wadgeのブログ

オーガニックトマト
Organic tomatoes
July 5th 2007
http://www.fsascience.net/2007/07/05/organic_tomatoes
有機食品についての議論が再びニュースになっている。カリフォルニアにおける長期研究で有機栽培トマトに二つのフラボノイド、ケルセチンとカンフェロールが多く含まれるということが示唆されたからだ。この研究はAlyson Mitchellらによるもので、彼女は非有機栽培トマトには肥料を使うために植物は窒素を簡単に利用できるが、フラボノイドは植物が栄養欠乏状態になったときに防御機構として作られるので窒素が多いときには少なくなるのだろうと考察している。
フラボノイドは抗酸化作用がある。野菜や果物をたくさん食べる人に心疾患系疾患が少ないのは野菜や果物に含まれる成分によるのではないかという仮説があり、フラボノイドもその候補の一つである。しかしながらフラボノイドをたくさん含む食品が心疾患を減らすかどうかはわかっていない。FSAはフラボノイドの多い又は少ない野菜や果物の心血管系リスク要因への影響についての研究をUniversity of Readingで行っている。
先のブログで、FSAはオーガニック食品に賛成でも反対でもないと述べた。我々は科学を根拠に行動しており、この件についても他の件同様そうするであろう。
しかしもし有機トマトにフラボノイドが多いとしても、この結果は現実世界にとっては有用ではない。今日の新聞で英国トマト生産者協会の技術顧問が、英国の通常栽培トマトと有機トマトにほとんど差はなく、栄養価に違いはないと述べている。さらにフラボノイドが健康によいかどうかは一概には言えない。
我々はオーガニック食品が消費者の選択肢として重要であることは認識している。またこの新しい研究については他の全ての科学的根拠と総合的に検討する必要があり、結局有機食品が通常食品より健康的だとか栄養価が高いとかいうことは言えない。
英国のほとんどの人が一日に3単位の野菜や果物すら食べていないのに、トマトのフラボノイド含量などのようなことばかり心配するのはどうかと思う。大切なことは単純に、もっとたくさんの野菜や果物を食べることだ。


(注
ケルセチンは一般的に発ガン抑制作用があるとか言われて宣伝されているけれど、変異原性があったりF344ラットの雄で発ガン性があったりする。もし食品添加物とかだったら「予防的措置として」認可されないのではなかろうか。
http://ntp.niehs.nih.gov/index.cfm?objectid=07098B92-0D5A-976C-D3F19416CFE1F3F3)