食品安全情報blog過去記事

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健康的と有毒の間−植物成分を精査する

Between healthy and poisonous - plant ingredients under close scrutiny
16.07.2007
http://www.bfr.bund.de/cms5w/sixcms/detail.php/9654
第4回BfR消費者保護フォーラムは、食品や飼料中の植物成分の健康影響評価方法について議論する
植物由来食品をたくさん食べることは健康的であると見なされ、多くの栄養学者によって推薦されている。しかしながらある種の食用植物には有害な、問題のある成分が含まれる。よく知られた例の一つがシナモンに含まれるクマリンである。高用量のクマリンは肝障害を誘発するが食品には限られた量しか含まれない。しかし科学的にリスク評価を行うのに十分なデータは必ずしも存在しない。第4回BfR消費者保護フォーラムの主題のひとつは、この種の物質のリスクをどう評価するかである。フォーラムは2007年7月5-6日に開催され、各種団体が参加した。BfRの長官、Andreas Hensel教授は以下のように述べた。「我々は植物に含まれる、構造から有害である可能性のある物質を同定するところから始めなければならない。さらに消費者がどれほどの量暴露されているかを決定しなければならない。これら植物成分の影響については現代の分子生物学的手法も用いて解明しなければならない。」BfRは評価の優先順位をサプリメントや香料として濃縮されて使用されている物質に置くことを薦める。
この種の植物成分の典型的例としてはイソフラボン類がある。イソフラボン類は植物エストロゲンとも呼ばれ、大豆やレッドクローバーなどに含まれホルモン様の作用を示し、閉経期症状を和らげると宣伝されている。天然成分であるため副作用が無く古典的ホルモン補充療法より良いと宣伝されているが、毒性学的研究によれば濃縮や高用量では甲状腺機能を障害する。エストロゲン作用があるため乳ガン発症を促進する可能性も否定できない。女性は閉経後に乳ガンを発症するリスクが高いため、イソフラボン含量の多いサプリメントを摂るのはリスクがないわけではない。
食品中植物成分は単離した時のみ不快症状を誘発するわけでもない。セロリ、パースニップ、パセリにはフロクマリンが含まれ、光毒性がある。約450gの調理済みセロリを食べるとフロクマリンの摂りすぎになり日光に短時間あたっただけで日焼けのような皮膚症状を誘発しその状態が長期間持続する。
最近ますます多くの植物由来天然成分が単離や濃縮して食品として販売されるようになり、健康リスク評価や規制のため、それらによる有害事象を系統的に記録する必要がある。健康保護のための予防的措置として、合成食品添加物の 試験法と同様の方法が天然成分にも適用されるべきである。用量相関や暴露が評価されるべきである。


フォーラムのプレゼンテーション資料は以下から(ドイツ語)
http://www.bfr.bund.de/cd/9667
クマリンモルヒネ・フロクマリン・ツジョン・ピロリジジンアルカロイドなど
写真や構造式や各種データあり