食品安全情報blog過去記事

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食品と科学物質の優先順位

Food and Chemical Priorities
July 16, 2007
By Jack Dini
http://www.acsh.org/factsfears/newsID.992/news_detail.asp
あなたにとって最も問題となるのは以下のうちどれ?
・ 未知の物質による食中毒
・ あなたの食品に含まれる動物の体の一部や糞
・ あなたの体の中にある極微量の各種化学物質
・ あなたの飲み水の中に含まれる極微量の各種化学物質
ここにあなたの判断を助けるいくつかの追加情報を示そう。
食中毒:食品に関する不安を煽るEric Schlosserはその著書Fast Food Nationの中で「米国では毎日約20万人の人々が食品由来の病気になる。900人は入院し、14人が死ぬ。CDCによれば、毎年1/4以上のアメリカ人が食中毒になる」
食品中の動物の体の一部や糞FDAの専門家がヒトの食用に販売される食品中にどれだけの汚染が許容できるかを決定している。全く汚染のない食品を作るのは不可能であるから「どのくらい」が問題なのは間違いない。個々にある種の食品の不純物として許容できる最大量についてのFDAガイドラインを示そう。
芽キャベツ:1オンスあたりアブラムシ10匹
殻付きピーナツ:5ポンドあたり昆虫1匹
ゴールデンレーズン:1ポンドあたり20匹相当の昆虫
トマトジュース:1オンスあたりハエの卵3個
粒コショウ:1ポンドあたり1mg程度のほ乳類の糞尿
ポップコーン:1ポンドあたり2本のネズミの毛
イチジクのペースト:1オンスあたり4つの昆虫の頭
ピーナツバター:1オンスあたり9つの昆虫の断片
ゴマ:1ポンドあたり5mg程度のほ乳類の糞尿
カカオ豆:1ポンドあたり10mg程度のほ乳類の糞尿
(注:昆虫丸ごと1匹には分かれた頭部や頭の付いた体の部分が含まれる)

一方化学物質に関しては、我々はわずかppmppb、さらにはppt濃度について問題にしている。動物の糞尿に関しては、1ポンドあたり10mgというのは20 ppmに相当する。これは人々が怖がっている一部の化学物質の量に比べて大きい。

あなたの体の中にある極微量の各種化学物質:今や新しい技術により気の遠くなるような微量の化学物質が検出できるようになり、市民団体がこれらの微量物質に対して新しい疑念を主張している。メディアは微量の化学物質が、天然であれ合成であれ体内にあるという普通の科学的事実を知らず、まるでショッキングなニュースであるかのように報道する。

あなたの飲み水の中に含まれる極微量の各種化学物質:新しい技術により極微量の環境中化学物質が検出できるようになり、南カリフォルニア水質検査局は安定な医薬品は最良の下水処理法によっても壊れずに存在することを学んだ。 検出された量はpptの範囲であるが、人々は心配になった。ロサンジェルスタイムスによれば、「この汚染により再生水のヒトや水際に住む野生動物への安全性に疑問が生じた」。

さてどれを一番気にすべきだろう?実際におこっている食中毒を無視する?あるいは食品や水に新たに発見された化学物質を真の問題として食品中の虫のかけらや糞便を無視する?もしそうなら残念だ、科学者はさらにたくさんの物質を検出し、あなたはさらに心配になるだろう。あなたの「化学物質恐怖症」は新たなレベルになるであろう。
我々の食べる食品の全てから、我々の吸う空気の全てから、我々はある種の化学物質を取り込んでいる。全ての化学物質はあなたを殺す能力を持っている、 ただし量が十分多ければ。スイスの錬金術師Paracelsusは「何が毒ではないかだって?全てのものが毒であり、毒のないものはない。あるものが毒になるかどうかは量による」と述べている。
化学物質恐怖症(ケモフォビア)への最も単純な答えはこうである:それは誤解だ。全ての物質は化学物質からなる。NRCの報告によれば約500万の化学物質が知られている。この500万のうちヒト発ガン物質であることがわかっているのは30以下で、1500が動物での試験でガンを誘発し、7000が発ガン性について試験をされた。数を繰り返すが、500万の既知の化学物質のうち30以下がヒト発ガン性が確認されているものである。
以下参考文献