食品安全情報blog過去記事

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抗酸化物質の過剰が遺伝性ヒト疾患の根底にある

Antioxidant overload may underlie a heritable human disease
9-Aug-2007
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2007-08/cp-aom080307.php
ビタミンCやEのような抗酸化物質がフリーラジカルによるダメージから守ってくれて健康に良いという一般的考えとは違って、Cellの8月10日号に発表された研究によれば、実際にはバランスが重要である。研究者は天然の抗酸化物質を過剰に負荷したマウスでは心疾患が誘発されることを示した。
酸化的ストレスによる傷害作用についてはたくさんの根拠がある。しかしそれには別の見方がある。著者は還元ストレスが疾患の原因となりうる例を初めて示した。
還元剤(抗酸化物質)は電子を渡して酸化されやすい物質のことである。一方酸化剤は電子を受け取りやすい。体内ではそのような酸化還元(redox)反応がエネルギーの放出や貯蔵に必須である。多くの細胞活動が酸化還元状態に感受性である。
還元剤を消費する酸化的ストレスがしばしば心臓疾患に関係するとされてきたが、逆の不均衡である還元ストレスもまた同様の影響がある可能性がある。
この研究ではヒトの蛋白凝集骨格筋ミオパシー及び心筋症患者に見られる変異遺伝子 aB-クリスタリンを持つマウスを使った。このマウスはヒトの病気と同じ症状(心肥大や進行性心不全及び早期死亡)を示すが、調べたところこの動物の心臓は還元ストレス状態を示していた。
“Human aB-Crystallin Mutation Causes Oxido-Reductive Stress and Protein Aggregation Cardiomyopathy in Mice.” Publishing in Cell 130, 427 439, August 10, 2007. DOI 10.1016/j.cell.2007.06.044