食品安全情報blog過去記事

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ニンニクはARVs(抗レトロウイルス薬)の代わりにはならない

Science NOWより
Garlic No Substitute for ARVs
22 August 2007
By Robert Koenig
http://sciencenow.sciencemag.org/cgi/content/full/2007/822/1?etoc
南アフリカの科学アカデミーが、ある種の食品やサプリメントを摂ることは、全体的な健康維持に役に立つ可能性はあるものの、結核HIV/AIDSなどの薬物治療の代わりにはならない、と警告する報告書を発表した。
これは保健大臣Manto Tshabalala-Msimangが、ビートやニンニクなどの食べ物が結核HIV/AIDSなどの進行を遅らせると主張して政策の混乱を招いたためである。この報告書ではこの種の一般的議論は社会や保健関係者に混乱をもたらすとしている。一部の政治主導者らは抗ウイルス薬の副作用を心配してHIV治療法として代替療法を薦めていることがさらに混乱を悪化させている。特定の食品やサプリメントに医薬品並みの効果があるという信頼できる科学的根拠はない。
食事は薬物の代わりにはならない。しかし南アフリカでは栄養不良が広がっていることも事実で、HIV/AIDSや結核と関連する栄養不良についても対応しなければならない。
この報告書が発表されて間もなく南アフリカの主要野党はThabo Mbeki大統領に保健大臣の罷免を要求した。南アフリカ保健省は現時点までこの報告書にコメントしていない。
報告書本文
HIV/AIDS, TB AND NUTRITION
Academy of Science of South Africa
July 2007
http://search.sabinet.co.za/images/ejour/assaf/Study%20%20pdf%20final%20ASSAf%20HIV%20TB%20and%20Nutrition%20doc.pdf
PDF 159ページ 重い
南アフリカは大統領がそもそもHIV否定論に汚染されて対策に遅れをとってきた。AIDSの原因は栄養不良と衛生状態の悪さが原因でHIVのせいではない、という説。ようやく通常のHIV対策をとるようになってきたと思ったらバックラッシュに遭っている、という状況。しかし抗ウイルス薬服用もワクチン投与ほど簡単にできることではないので貧困層に効果の違いを実感させるのは難しい。)